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妖ジャン フライトジャケットG-1・7823B


ミスターJのネタが尽きたので、いつもの路線に戻ります。

今から約20年前、映画「トップガン」でトム・クルーズが着用したオールド仕様のG-1フライトジャケット。派手なパッチを無数にメッタ貼りしたG-1ジャケットに、「革ジャンなんて不良かおっさんの着るもの」と思い込んでいたオボコい少年はすっかり魂を抜かれてしまいます。

クルーズが着用したG-1は、AVIREX社が映画用に製作した特注品。そうとは知らず大須(名古屋の商店街。アメカジショップが多数存在)を徘徊していた私。(なんかないかなー、あれくらいカッコよくって、ボクにも買える掘り出し物のジャンパーは!)リアルマッコイもバズリクソンズも存在しなかった当時、それはないものねだりというものです。しかもポケットの中にはせいぜい多くて1万円。MA-1だって買えるかどうか。

ところが・・・ところがですね、奇跡は起きたのです。画像の革ジャン、1950年代(悟空さん、合ってます?)頃の製品か、正真正銘の本物のG-1ジャケットのヴィンテージ品が、某投売り激安いらないもの屋さんのヨレヨレの古着の山の中に、1着だけ意味ありげに吊るされていました。

一目で確信しました。「コイツは本物のヴィンテージG-1だ・・」しかし、なぜこんなところに?

そして、G-1に無造作に縫い付けられた無数のパッチ。トップガンのG-1を真似たものであることは明らかです。ただ、悲しいことにまるで再現できていない・・。ウェザリングをかけたのか、薄汚れたパッチの数々。そして、G-1の肩付近には、バイクで転倒したかのような大きなすり傷が。

リブは一重のものに交換済み。そして、とてつもなく強い異臭と、そこはかとなく漂う胡散臭さ。

走り屋をスピードの裏側へといざなう妖車のように、G-1は私に語りかけてきます。

「ねぇ・・ワタシを連れて帰って・・」

でもでもでもでも・・ボク1万円しか持ってないんです。革ジャンなんて古着でも買えやしません。増してや、そんな1950年代の本物のG-1なんか!

「いいのよ・・お金なんか・・」

再び妖ジャン・G-1が語りかけてきます。値札はどこだ、値札は。

値札が・・ない・・・どうしてコイツだけ??

ヴィンテージG-1の特徴の一つである、やや弓なりになった(今のに比べると)フロントポケットの中に手を入れると、そこから出てきたのは手書きの値札。

1,500円・・・せ、せんごひゃくえん!!!???? 1950年代の本物G-1が!?

すっかり妖ジャンに憑依されたワタシは、一目散にレジに行きます。

レジのお姉さんは、なんだかツンケンしています。
店員「これ、値札ないですねぇ・・」

私「ポケットの中に入ってましたけど・・」

店員「これがこの服のものか分からないので、お渡しできません。」

私「じゃ、じゃあ、取り置きとかってできないでしょうか??」

店員「値段がつきしだい並べますので、できません(ツンケン!)」

私「じゃ、せめて、店に並んだら電話もらうっていうのも・・」

店員「できません!(ツンケン!)」

私「(涙)」

立ち去る店員。心の中で悔し涙を流しながら、妖ジャン・G-1を愛撫するワタシ。

「ちくしょう、あの店員、絶対オレが値札をつけかえたと思ってやがる・・」
「だいたい、ビンボーなオレなんかが、こんな凄いG-1を買えるわけないんだ」
「その気にさせておいて・・あぁ、ほかの男のものになっちまうのか・・ゴメンな、G-1。」

なかなか立ち去らずに、ひたすら薄汚れた革ジャンを愛撫する若者・・これが店長の憐憫の情を呼び起こしたのか、さっきの女性店員と一言二言言葉を交わしている姿が目に入りました。

すると、さきほどの憎っくき女性店員、ワタシのところへ来て一言。

「千五百円で、いいそうです。」

こういうとき、間違っても、「ホントですか!?」と聞いてはいけません。「ウソです。」と言われたら困りますから。

瞬間的にレジで清算するワタシ。女性店員の「ありがとうございましたー」に違和感を覚えつつ、足早にその場を逃走。まるで万引き犯のよう。

家に帰って、G-1のタグに目を通す。MIL-J-7823B L.W.フォスター社の製品だ。
オリジナルのコンマージッパー・・ついに、ついにヴィンテージのG-1を手に入れた。これでボクも明日からトップガンだ!

ということで、購入したての妖ジャン・G-1を着て撮った写真がコイツです。Gパンがダサいですが、お許し下さい。田舎の少年です。

でたらめにベタ貼りされたパッチは悟空さんに解説していただければ幸いでございます。

この妖ジャン、ヴィンテージ物だけあって、素材はとても贅沢です。首元をやさしく包む、襟の天然ムートンのボア。しなやかにして強靭、透明感のあるヴィンテージ特有の色落ち。そして袖を通した瞬間に優しく腕を迎え入れるレーヨンのライニング・・・しかし・・・・

部屋に飾っておいたこの妖ジャン。こいつが部屋にあるとどうにも気になるのです。異臭のせい?意味ありげな肩の擦り傷?どうしてこの持ち主は、こんな大層なブツを手に入れたのか?米軍関係者か?コレクターか?どっちにしても、ふつうの野郎ではあるまい・・・。

そして、どうして急にあの古着屋は1,500円という捨て値でコイツを手放したのか?1万円、2万円の値札をつけたってすぐ売れるだろうに。そして、あのときの店長と女店員の会話は、いったい・・?

このG-1を着た海軍兵士は、コイツを着て空を飛んだのだろうか。50年代、朝鮮戦争か。MIGと銃火を交えたのか?彼は人を殺しただろうか、あるいは彼が・・・。

まるで妄想族長・・。

このパッチを付けたオーナー。このパッチは全て手で縫いつけられている。革ジャンに手でパッチを縫いつけるのは、かなりの重労働だ。そこまでして手をかけたG-1を、どうして手放したのか?そして、この肩の擦り傷は・・(どうしてもそこへ目がいく。)

1,500円で売ってもいいということは、買値はいくら?500円?300円?本人がそんな値段でコイツを手放すわけがない。じゃ、誰が?誰が売りにきたんだ?お金にもならないのに、なぜ?そしてこの肩の傷は・・・ああ、もう!

妖ジャン・G-1と同じ部屋で寝る毎日。G-1からは相変わらず異臭が漂います。掛けられたG-1の後ろには、IBF世界チャンピオンのマシュー・ヒルトンのポスター。最初のオーナーも白人だったのだろうか。

そのうち、なんともこのG-1が、薄気味悪くなってきたのです。なんともいえず、いや~な感じがするのです。「このG-1、絶対何かを見てきてるよ・・」

意を決したワタシは、サープラスショップへ電話。「ヴィンテージのG-1買ってくれませんか!」

大戦モノしか買い取らないそのお店に送りつけたG-1の査定額は、1万円。

売った!そのG-1、呪いのオマケ付きで、1万円で売った!!

あのG-1は、それからどこへ流れていったか私には分かりません。今でも、1,500円の値札を左ポケットに入れたまま、新しいオーナーを探しているのかもしれません。

私は古着好きで、フライト・ジャケットには格別の興味がありますが、やはり戦争をする人の服ですので、ピカピカのデッドストックならともかく、実戦を経験しているようなブツだと、腰が引けてしまいます。古着のプロになり切れなかったのは、こんな気の弱さが関係しているのかもしれません。

【後日追記】
G-1の7823Bは1961から1963年であったようです。少なくとも、このブツは朝鮮戦争には参加しておりませんでした。

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コメント

コメント(16)
No title
この画像からは分かりずらいですが、この元オーナー、かなりのムチャ貼りやってますね(苦笑)ネームタグが肩に!…こりゃトップガン以上だわ(爆)1950年代のG-1にTOPGUNのパッチを貼ってはいけません!TOPGUNが創設されたのはベトナム戦争の最中ですからね~

悟空

2005/09/28 14:25 URL 編集返信
No title
悟空さん、早速どうもです!パッチ、全部取っておけばよかったかもしれませんが、薄気味悪くて全部捨てました。マーベリックのお父さんのG-1として、トップガンプロジェクトのベースにならないでしょうか??

カッタウェイ

2005/09/28 14:43 URL 編集返信
No title
MIL-7823BのL.W.フォスターじゃポケットのフラップがシングルアーチなので無理っすわw G-1って、見る人が見ないとこんな値段が付けられるんだ(苦笑) ま、そのお店の人は「ただの革ジャン」の古着としか見なかったということでしょう。風通しのいいとこ置いとかないと臭いが…ねw

悟空

2005/09/28 19:29 URL 編集返信
No title
あぁ、フラップの形状までこだわっているんでしたね・・。妥協を許さないトップガン・プロジェクト。完成したら、それをベースに市販するメーカーが現れるかも。

カッタウェイ

2005/09/28 20:08 URL 編集返信
No title
以前書かれてた“ドリズラー”のジャケットの件、うちのブログにちょこっと登場。…つってもリンクだけですが(苦笑)マッコイからは色違いのカスタムver.も登場です。

悟空

2005/09/29 10:47 URL 編集返信
No title
カタログ見ました。そうそう、こんな感じですよね、劇中のドリズラー?は・・。カッコいい!けど到底似合いそうにないので買えません。それにしても高い!!

カッタウェイ

2005/09/29 21:08 URL 編集返信
No title
臭いのですか・・・ファブリーズで何とか・・・・なりませんよね(笑)一着のジャケットが妄想の宝庫・・・・。そう思うと肩の傷も含めて価値あるジャケットですね。(といっても悪い妄想をしてしまうので家には置きたくありません。)

そら

2005/09/29 21:14 URL 編集返信
No title
そらさん、ファブリーズなるものは、多分、この頃にはありませんでした。軍服ですから、妄想は果てしないです。古着屋時代、古着のポッケから色々なものがでてきて、妄想心をくすぐられました。(私の体験ではなく、聞いた話ですが)一番恐ろしかったのは・・何と、22口径の実弾(未使用)が出てきたことがあったそうです。古着を買うときは、よーーーくポケットを探ってから買いましょう。

カッタウェイ

2005/09/29 21:23 URL 編集返信
No title
分かりますこの気持ち(笑) 私も自分の古着で妄想すると止まりません、、、。そういえば昔古本屋で買った映画のパンフには、「昭和52年12月25日○○子と、、」って書かれた映画の半券が入ってて笑えました、、。

baja9631

2005/09/30 19:17 URL 編集返信
No title
昭和52年・・・○○子と観たのは「スター・ウォーズ」?「幸せの黄色いハンカチ」?きっと二人は大恋愛の末結婚し、子宝に恵まれ、部屋が狭くなったので思い出のパンフレットも売り払ってしまったのでしょう・・と、思いたい。

カッタウェイ

2005/09/30 21:29 URL 編集返信
No title
それは妄想をかきたてられます。きっとああなってこうなってそうなったのだろうな。

chargeup2003

2005/09/30 22:57 URL 編集返信
No title
12月だから「スター・ウォーズ」じゃないですね。あれは夏に観たような記憶が。わざわざ○○子と名前が書いてあるのが意味深で、ほかにも××子とか△△代とか、色んな女性と交際していて、間違えないようにしているのか、それとも・・・

カッタウェイ

2005/10/01 08:01 URL 編集返信
No title
ジュークBOXにコイン投入…やがて聞こえてきたのは…You've Lost That Lovin' Feelin'

ペーパーキャプテン・りヴぁ

2005/10/01 12:02 URL 編集返信
No title
「ふられた気持ち」ですか。振り向いたら、そこに○○子が「戻ってきたのね、私も・・」と、現実はトップガンのようにはいかないのでしょうけど・・。

カッタウェイ

2005/10/01 19:17 URL 編集返信
No title
トップガンは、朝鮮戦争で散っていったお父様の形見のG-1に自分のパッチを張っているのではないでしょうか。

うっしー

2010/12/25 20:14 URL 編集返信
No title
映画の設定ではそうなっていたと思います。パッチは架空の部隊名に変えられているものがあったような記憶がありますが、詳しくないものでよく分かりませんです。

カッタウェイ

2010/12/25 20:25 URL 編集返信
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