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G-1の前身,M-422A




ヴィンテージ好きは何故古いものが好きかといいますと,概して古い服のほうが素材がいいからだと思います。特に皮革製品だとこの傾向は顕著になります。

陸軍のA-2は1940年代初期に生産が打ち切られますので,ヴィンテージのA-2は大体どれでも革質が素晴らしい(中にはレプリカぽい本物もありました)のですが,海軍のG-1は1970年代から80年代までの一時期を除き,ずっと支給され続けていますので,革質の変化を見ていくのには格好の材料です。

55J14あたりでも,現在のアクリル襟G-1とは比較にならないクオリティですが,M-422Aになると威圧感すら漂います。たたずまいが全く違うのです。画像でも確認できるかと思いますが,革表面がうっすらと色落ちし,深く,重く,鈍い光を放っています。

非常にタイトなシルエットでありながら,肩のアクションプリーツと,アクションプリーツと連動しているシャーリングが中に仕込まれているため,動き易さも抜群です。

裏地はコットンレーヨンあたりでしょうか,袖を通した瞬間の気持ち良さはナイロンライナーとは比較になりません。そしてムートンのボアが柔らかく首を包む感触,できればスーツなんか脱ぎ捨てて,毎日このジャケットで仕事したいくらいです。

しかし,実際には,私はこのジャケットにはほとんど袖を通さず,押し入れにしまったままにしています。理由は,M-422Aは実際に飛行兵が着用した軍服であり,どんなに程度のよいものだとしても,何となく血の匂いがする(実戦に参加していなくても)気がするのと,70年近い歳月を経てきたM-422Aの醸し出す重みに,私が完全に着られてしまっており,完全に服が浮いてしまうからです。

これはヴィンテージ好きが必ず経験するジレンマなのかもしれません。

A-2,G-1はもはや軍服というイメージはありませんが,大戦当時の現物であれば,ナチスのルフトバッフェや日本海軍の飛行服を着るのと,本質的には大して変わりはないのですから。(勿論,他人の見る目は全く違います。)

そんなわけで,私は普段,先ほどさんざんけなした現行のG-1を着ています。89年に新品で買ったもので,16年目を迎えますがまだまだ元気!頑丈なアクリルボア,ナイロンライナーのおかげです。現行G-1についてはまた後日・・・。



※ 昨年の5月29日の記事です。70年近く前の革ジャン,しかも飛行服というのは凄い威圧感があります。ヴィンテージブームの頃ならともかく,今これを着てうろうろするとかなり目立ってしまうかもしれません。封印中。

昨日,お父様が陸軍の爆撃手(日本の)だったという職場の女性から,お父様が1946年に書いた爆撃手時代の回想録を預かりました。何でも,「よく分からないので難解な言葉を解読して欲しい」とのこと。

「海行かば」「撃ちてし止まむ」「銃後」・・難解といえば難解。彼女はこの回想録を英訳するのだとか。

回想録は銃後で工場に動員された若者や戦友への想いについて書かれていました。

満州で何度も爆撃を繰り返したとき,その地上にいた人たちへ思いを馳せた記述はありませんでした。

ただ,「戦争は人を変える。」との言葉が何度も何度も繰り返されていました。

・・・この革ジャンはその頃アメリカ海軍のパイロットに支給されたものです。衣料品としてはこの上なく魅力的ですが,それだけでは済まされないというか,重い歴史を語りかけてくるような飛行服でもあります。

疎開先で叔父に機銃掃射をしたグラマンF6Fのパイロットが着ていたかもしれないし,戦艦大和を沈めたアベンジャー雷撃機が着ていたかもしれない。新品同様だったので,多分違うとは思うけれど。

なんだか,胸が苦しくなってしまうではありませんか。

こんなジレンマをかかえている所有者は私だけでしょうか?

そんなわけで封印中なのでした。

【2016.2.13追記】
このM422Aは1943年会計のものなのだそうです。ミリタリーにしてもデニムにしても、現在の情報量にはただ驚くばかりです。

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コメント

コメント(8)
No title
すんません、こっちにもコメ入れさせていただきます(笑) GORDON&FERGUSONのM-422A!それもめっちゃ程度がいいですね! コレってリブとか変更してないのですか?オリジナルのまま? こんな程度がいいのは初めてお目にかかりました。色々物色してるのですが、一部気に入らないようなのばっかりで。。。

悟空

2005/07/14 19:37 URL 編集返信
No title
あぁ,こちらにまでコメントいただいて・・私もどれだけ探したことか・・。リブもボアもオリジナルです。本当はもっと程度が良かったのですが,私が着たせいで少しヤレてしまいました。G-1,M-422Aが今でもお好きな方と出会えて嬉しいです。また情報交換させてください。

カッタウェイ

2005/07/14 22:16 URL 編集返信
No title
お父様の回想録を読みたいな。なんて思いました。

ペーパーキャプテン・りヴぁ

2006/09/16 13:07 URL 編集返信
No title
リヴァさん,回想録は文字が躍動していて手強いです。昭和21年製でした。

カッタウェイ

2006/09/16 21:47 URL 編集返信
No title
こんにちは。kuniさんのブログからとんできました。 大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。 「撃ちてし止まむ]」入った]が入った昔の広告などについても とりあげています。 よかったら、寄ってみてください。 http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611

kemukemu

2007/01/18 23:38 URL 編集返信
No title
kemukemu様のブログ,大変貴重な史料が豊富に掲載された素晴らしいブログで,拝読できたことを大変幸運に思っております。ゆっくり時間をかけて味わわせていただきたいと思っています。今後とも,どうぞよろしくお願いいたします。

カッタウェイ

2007/01/18 23:57 URL 編集返信
No title
古いものの素材っていいですよね。今の若い人がその背景を知らずして素材・ディテール・風合いなど上辺だけをクローズアップしているのを見ると少し怖くなったりもします。kemukemu様のブログは古着を別の視点というのがあるということを気付かせてくれるきっかけになると思います。これからも頑張って下さいね。

oude50

2011/02/12 11:52 URL 編集返信
No title
KLMさま、コメントありがとうございます。古着には素材も作りも現在では失われてしまった魅力がありますが、これを日常のワードローブに取り込もうとすると、軍服でなくても、なんだか違和感を感じることがあります。その服にまとわりついている歴史のようなものは、水洗いクリーニングでも取れないのかもしれません。

カッタウェイ

2011/02/12 20:06 URL 編集返信
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