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靴を買う喜び,欲しい靴が減る悲しみ


高級靴ブームはまだ続いているのだろうか,それとも,もうとっくに廃れてしまっているのか。

田舎に住んでいて,靴屋巡りもままならない僕にはさっぱり分からないが,このブームの牽引役を担っていた掲示板の多くが休止あるいはそれに近い状況であることから,さすがにひところの勢いはもうないのか,という気がしている。

思えば,ブームに火が点いたのは1999年くらいだろうか。グリーンもウェストンもロブもオールデンも概ね9万円前後だった。高いなぁ,と思ったけれど,無理をすればなんとか手が届く値段だった。

フローシャイムもチャーチもボノーラも,リーズナブルで質実剛健な靴を作っていた。

開設したばかりの活気あふれるインターネットの掲示板では,それぞれのブランドの特徴や歴史,靴の製法,フィッティングの重要性,等々,次々と有識者の書き込みがあり,それはまるで冒険の書をめくるように,本当に心躍る内容で,毎日,半分も意味が分からないままに,むさぼるようにして読んだ。

それからはや7年が経とうとしている。この高級靴ブームは,これまで靴に無頓着だったと言われている日本人男性に革命を起こしただろうか?

それとも,一部の人間が,”高級靴を買うこと”がブームとなっただけなのだろうか?

ひょっとすると,買い集めた高級靴に十分なメンテナンスをする意欲がなくなり,もてあましてしまっている人すらいるのではないだろうか?

かつての靴仲間?の一人は,もうモウブレイもビーワックスも使わない。コードバンだろうがアニリンカーフだろうが,ラナパーだけで済ませているという。そして,それで全く問題はないという。

かくいう僕も先月は精神的余裕があまりなく,ビスポークも含めて,初めて全ての靴をラナパーで手入れした。

彼が言うように,確かに問題はなさそうだが,さすがに乳化性クリームやワックスのような光沢は出ない。ひび割れさせないだけの手入れになってしまうような気がする。

そこで今日,本当に気に入っている手持ちの靴数足に,デリケートクリームと乳化性クリームを入れてみた。かつてのように曇り一つ許さないという磨き方ではなく,大きなブラシを使ってのざっくりとしたメンテナンス。

それでも,磨き終えるとしっとりとした艶が蘇って,かつ,どの靴も購入時とは違った経年変化を見せてくれる。

「ああ,やっぱり,こういうのっていいなぁ」と実感した。

僕の場合,十分に愛着を感じ,メンテナンスできる数はせいぜい十足くらいのようだ。

少し,熱くなって買い求めすぎた(といってもほんの数足)のかもしれない。

僕は今,JMウェストンのローファーがとても欲しいのだけれど,よく考えると,欲しいというより,「あれば重宝するな,コーディネートの幅が広がるな」という感覚により近い。

これは,これまでの欲しいという感覚と少し違う。必要という言葉のほうがしっくりとくる。

大阪まで買いに行くのがおっくうだというのもあるけれど,どうにも買う決心がつかないのは,これを買ってしまうと,欲しい靴が一足減ってしまうからではないか,ということに最近気が付いた。

本当に欲しい靴は,もういくらもない。数年前までは何十足でも欲しい靴(作りたいデザイン)を挙げることができたけれど,今本当に欲しい靴は,このローファーとオールデンの990,それにフルブローグのコレスポンデント・シューズくらいのものだ(残念なことに,これは既製ではなかなか売っていない)。

靴が好き,というのはとても楽しいことだったから,なるべくこの気持ちを失いたくない。ウェストンのローファーは,僕の優柔不断な購買意欲が十分高まるまで,あの品質と値段を維持してくれるだろうか。

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コメント

コメント(8)
No title
愛しさをひしひしと感じる記事で、温かい気持ちになりました。そこはかとない切なさもあって、カッタウェイさんのイメージに渋みも加わりました。そして何度見てもあのどんぐり色の靴はとてもとても素敵で、目が離せません。

cho*chi*un

2006/06/07 11:01 URL 編集返信
No title
ちょっちぷんさん,こんなぼやきのような記事に優しいコメントありがとうございます。どんぐり靴はまさに今の時期が旬で大活躍しております。スニーカーの再トラバもありがとうございます。AJ1,今でも,見たいです~。

カッタウェイ

2006/06/07 22:18 URL 編集返信
No title
ブーム以前は靴好きを自認してましたが、あまりの盛り上がりにかえって冷めちゃいました。値上がりも響きました。普通の収入で10万以上の靴、かんたんに買えませんよね。今では手許にある靴、可愛がってます。

yoc

2006/06/07 22:51 URL 編集返信
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norigueiraさんのように古くからの靴好きの方には,ブームはマイナスの面も大きかったのではないでしょうか。10万円が一つのボーダーだと思ってましたが,今では15万どころか20万の壁を破ろうとしているメーカーがあり,切なくなってしまいました。買えなくなってしまったのが半分,欲しくなくなってしまったのが半分です。

カッタウェイ

2006/06/07 22:55 URL 編集返信
No title
私も、靴にはまりだして、何年かは、むさぼるように買いました。特にオールデンのコードヴァンなどは。しかし、革靴の必要性がない職業なので、はかない靴が大多数で、好みの靴も決まってきましたので、ほとんど処分してしまいました。それでも増えますが、数少ない靴を育てていく事にしました。ほしい靴はありますが、結局はかないと、もったいないですから。

-

2006/06/09 09:52 URL 編集返信
No title
tanuma47さん,履かない靴ができるのは寂しいですよね。私もオーバーサイズの古いカドガンがあって,売っても二束三文,履くと疲れるで放置しています。

カッタウェイ

2006/06/09 19:07 URL 編集返信
No title
カッタウエイさん、ちなみに、ラストやサイズはおいくつですか

-

2006/06/09 19:56 URL 編集返信
No title
202の9Eですが,補正を入れてあるしクラックも入り始めているので,オブジェとしてポリッシュして飾ってあります。二束三文なのもありますが,古くからの友人に譲るか,このまま飾っておくつもりです。

カッタウェイ

2006/06/09 20:10 URL 編集返信
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