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近所の床屋と仕立て屋について

「理髪店とテーラー(仕立て屋)は一生変えるな」という戒めがあるそうですが,このご時世,なかなかそういうわけにもいきますまい。

いえ,実は8年着て脇の裏が擦れてきた紺ブレを近所の仕立て屋さんに修理に出したのです。

そうしたら,たった2千9百円で,キュプラの袖裏のまま(化繊混紡でない袖裏は一つしか残ってなかった)見事な仕上がりで戻ってまいりました。

知り合いのフィッターさんのところで見積ってもらったら,裏地交換とセットで,裏地をちょっといいのにして,2万円弱かな・・と言われていたので,「そんなら新しく作ったほうがいいか・・」と思っていたのですが,愛着のある服でもあり,近所の仕立て屋さん(といっても,採寸しているところを見たことがない)に相談したところ,わずかな金額で見事に復活させてくれました。

そこで思ったのですが・・

うちの近所は仕立て屋さんと理髪店がすごく多いのです。で,どこも数十年間時間が止まったような雰囲気で,お客さんもほとんど入っていません。

新装開店した美容院はいつも満員なのに,この差はなんなのだろう。

多分,仕立て屋さんも理髪店も,速く正確に縫う,切る,刈る,絶つ,という技術は素晴らしいのだと思うのです。そういう技術では,人気店の若手美容師をも凌駕しているかもしれない。

でも,そこで止まってしまっているのですね。

理髪店のガラス戸には,日に焼けまくったリーゼント風のアンちゃんとポニーテールのお嬢さんのイラストがどこのお店にも描かれている。

そして,「おしゃれは髪型から・・アイパー5千円」とか書いてあるのです。

アイパーって,アイロンパーマの略らしいのですが,コテみたいなので髪に強いパーマをかけるんです。で,熱いので,ときどき「ふーふー」と冷ましながらカールさせていく。

この「ふーふー」のタイミングを違えると,客が熱さで悲鳴を上げるというものなのですね(多分)。

でも,当世の若者の何パーセントがアイパーを所望するというのか。

お店に入っても,親父が(自分の見たい)テレビを大音量でつけて,テレビが面白いとカットの手が止まる。「おいおい,大丈夫なんだろうなぁ・・」

話題といえば「どこそこの爺さんがもうすぐポックリいきそうだとか,この間病院で前立腺の検査をしたとか」・・そんな話,あたしゃ聞きたくないよ。

対する美容院では,綺麗な音楽が流れ,様々な雑誌が用意され,ティーサービスがあったり,話術も訓練されている印象を受ける。

それから,近所の仕立て屋さんにいつも閑古鳥が鳴いているのも,トルソーに着せられた,焼けまくった仮縫い状態の背広(スーツというより)を見れば納得がいく。

細いラペルに低い低いゴージライン,ズングリとしたシルエット。とても間延びした印象を受ける。

ここで洋服を作りたいと思う服好きはいないだろう。そして,服好きでない人は,今時仕立て屋で背広を仕立てたいとは思わないはずだ。

近所に立ち並ぶ,開店休業を続ける理髪店と仕立て屋さん。共通していることは,指先の技術はある(であろう)のに,現代に通用するようなセンスがない。

流行っている美容院,流行っている国内のテーラーから,多くのことが学べるだろうに,どうして生まれ変わろうとしないのだろう。もう自分達の仕事は終わったと感じているのだろうか。

いずれ,消えていくであろう理髪店と仕立て屋さんたち。聞けば,集団就職や小僧さんとして弟子入りし,手に職をつけるために大変な苦労をされたとのこと。

そこで培われたせっかくの技術が,現代のファッションに対応するため昇華することなく,ひっそり消えていってしまうのは,なんだか淋しい気もします。

皆さまも,痛んだ洋服があれば,是非近所の仕立て屋さんに!
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コメント

コメント(10)
No title
確かに近所に、古くからあるけどお客が入っているのを見たことがないという店がいくつか浮かびますが、どうやって食べているのかと悩みます。家賃等はかからないとしても、日々の食い扶持は稼がないといけないと思うのですが、謎です。汚そうなクリーニング屋もあって、腕がよかったとしてもクリーニング屋にはきれいであって欲しいということで勇気が出ません。

chargeup2003

2006/06/18 14:10 URL 編集返信
No title
ぬぬぬ、安物ばかり買ってるため仕立てのほうが高くなりそうな予感が・・。お金入ったら長く着られる良い服も買おうっと。その頃まで仕立て屋さんが生き抜いていますように・・・・!!しかしアイパーって睫毛パーマのことだと思ってました(爆)理髪店でするわけないか。

そら

2006/06/18 14:22 URL 編集返信
No title
中学の先生が「髪にアイロンをかけてはいけません」と言った時、私がどんな光景を想像したかは、ご想像通りです。

chargeup2003

2006/06/18 14:53 URL 編集返信
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chargeupさん,そういった店も,かつてはかなり繁盛した時期があり,その遺産で食いつないでいるのではないか・・と予想します。うちの実家の近所の商店は,大抵そのようでした。

カッタウェイ

2006/06/18 18:13 URL 編集返信
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そらさん,私は一度ユニクロのチノパンの丈直しをお願いしたことがあるのですが(少し詰めるだけなので,ほどいて,切って,縫い直す),見事な仕上がりでした。ほどいて,プレスして,チョークで線を引いて・・私は店員時代,チョークは省略していいかげんなカンで直していたので,自分を恥じましたです。

カッタウェイ

2006/06/18 18:17 URL 編集返信
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髪にアイロン・・先生もよく分からないまま注意したのかもしれません。髪にオキシドールをかけてはいけません,とは言われました。

カッタウェイ

2006/06/18 18:19 URL 編集返信
No title
近所の畳屋さんの息子が同級生なのですが、店というより民家の一階的外観。どうやって食べていっているんだろう、と謎でしたが、土地も家ももうローンなしだから税金対策だよ、と言われました。それ以来、商店街の古くからある、年配女性向けブティックとか、金物屋とか、布団屋さんはみなそうなのかなと思っておりました。…今気付きましたが、小売店ばっかりでした。技術を持っている方の手が、流行などで廃れていくのは寂しいです。個人事業主にも活性化の光を向けて欲しい…と思ったけど、迷惑だと思う人もいそうですね^^;

cho*chi*un

2006/06/18 23:08 URL 編集返信
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ちょっちぷんさん,なるほど,税金対策という面もあるのですね。生き残りをかけて必死,という雰囲気ではないような雰囲気のところも多いので,納得です。

カッタウェイ

2006/06/18 23:55 URL 編集返信
No title
私は女のせいもあってかこだわりが少ないのですが、父の友人はずっと変えずにいるそうです。床屋は息子の代になっているのに、わざわざ床屋のために片道一時間半かけて移動してきます←もう古希ですよ。

ふじん

2006/06/22 21:59 URL 編集返信
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ふじんさん,床屋のために往復3時間・・素晴らしいこだわりです。多分,髪を切る以外の何か特別な思い入れがあり,譲れないのではないでしょうか。

カッタウェイ

2006/06/23 23:02 URL 編集返信
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