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偉大な古典は超えられないのだろうか?


「『2が1を超えることはない』って言うからなぁ」

1986年,映画「エイリアン2」を見にいったときに,隣席の生徒会長(残念ながら男同士)がつぶやいた一言が忘れられません。

「エイリアン2」自体は偉大なる1作目「エイリアン」に匹敵する名作だと思うのですが(ラストのリプリーとクイーンの一騎打ちだけは違和感を感じるけれど),「エクソシスト」や「悪魔の住む家」等々,2作目が1作目の評価を大きく下回る作品は珍しくありません。

現在の私の意見としては「2が1を超えるか,あるいは同等ということは少なからずある。けれども3が1や2を超えるのはなかなか難しいようだ」といったところです。

例えば「ウルトラマン」に対する「ウルトラセブン」。


デザイン・ストーリーともに遜色はありません。芳香性・・もとい(アロマの記事ではない)方向性が違うし,ストーリーもデザインも前作を全く引きずっていないのが特徴的です。

「ウルトラシリーズ」の第一作は「ウルトラQ」じゃないのか!とかセブンはウルトラマンの後継作品ではない!とのお叱りを受けそうですが,巨大ヒーローものとしてのウルトラシリーズとしては1作目,2作目という位置づけでもいいのではないかと思います。

これが新マン(初代そっくり。もともとが「帰ってきた」という構想だったから当然なのですが。),エース,タロウ(セブンと似ている・・),レオ,80・・あたりになってくると,少しずつ行き詰ってきた感があります。

近年のウルトラシリーズは,デザイン的には残念ながら斬新な印象を受けたものはありません。ウルトラマンであり続けなければならない限界が来ているようにも見受けられます。

それから「仮面ライダー(1号・2号)」と「仮面ライダーV3」


次第に派手に進化していったとはいえ,黒を基調としたボディと緑の仮面というダークな色調だった1号・2号ライダーに対し,赤い仮面に緑のボディのV3は斬新でした。

デストロンの初期の怪人のデザインは,ショッカーを凌駕しているのではないかと思うくらい,完成度の高いものが多いです。

平成になってからの仮面ライダーシリーズは,斬新なデザインに果敢に挑戦しているようには見えますが,「おおっ!その手(デザイン)があったか!なんてかっちょいいんだ!!どうしてこれまでこのデザインを誰も思いつかなかったのだろう?」というような衝撃的なデザインには,未だ到達していないような気がします(個人的見解です)。

ここでふと思い浮かんだのが,このブログのメインテーマの1つである服飾デザインのことです。

まずはジーンズ


リーバイスのアーキュエット・ステッチ,ラングラーのWステッチ(マーベリックのMステッチ含む),Leeのホースマウス・ステッチ。

これを超えるステッチのデザインは考案できないのだろうか?

それからスニーカー


ナイキのスウッシュ,アディダスの3本線,アシックスのタイガーストライプ(正式名称はなんだっけ),プーマ・・。これらのデザインを超えるデザインは??

ブルックス,エトニック,サッカニー・スポットビルト,ポニー・・う~ん・・。

子供の頃,何かかっちょいいラインを考案できないかと思って,ノートの端にラインを引きまくったことがありますが,私には悲しいことにいかなる新ラインも考案できませんでした。

ミズノのランバードなんかは,成功作だと思います。ただ,ファッショナブルではないけれど。

さらには紳士靴。


ストレートチップ(キャップトゥ,パンチドキャップトゥ,クォーターブローグ,セミブローグ含む)

ウィングチップ(ブラインドフルブローグ,ブラインドブローグ含む)

プレーントゥ(ホールカット含む)

いわゆるUチップ

いわゆるローファー

モンク・ストラップ(シングル・ダブル)

短靴で完成された基本デザインといえば真っ先に思い浮かぶのがこれらのデザインです。

毎年,多くのメーカーが果敢にも新しい紳士靴を生み出そうとして試行錯誤しているようですが,残念ながらこれら古典的デザインを超えるような斬新かつ画期的なデザインで,かつ先ほどの,「おおっ!その手(デザイン)があったか!なんてかっちょいいんだ!!どうしてこれまでこのデザインを誰も思いつかなかったのだろう?」と手放しで賞賛したくなってしまうようなデザインにはまだ出会ったことがありません。

スキンステッチを張り巡らせたり,古典的なデザインに変更を加えたり,カーブを変えたり・・。
そういった目先の新デザインではなく,全くこれまで誰も気がつかなかった,画期的で斬新で,この上なくカッコいいデザインはないだろうか。もうこの世にそんなデザインが生まれる可能性は残っていないのだろうか。

自分がデザインしたり思いついたりすることは絶望的でも,いつかそんな意匠をまとったジーンズに,靴に,それからウルトラマンに,会ってみたいものです。

モーツアルトを超える天才作曲家の出現のように。服飾界(と正義の味方界)に衝撃を与える日は来るのでしょうか。
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コメント

コメント(16)
No title
「エイリアン」は、1がリドリー・スコットて2はジェームス・キャメロンですよね。わたしはリドリー・スコット大好きなんですが、ジェームス・キャメロンはイマイチなので、やっぱり1の方がいいな~と思ってしまいます。
1、2ともに良かったと記憶してるのは「マッドマックス」です。あれは両方ともジョージ・ミラーでした。でも3の「マッドマックス/サンダードーム」はいただけなかったな~。

トンコ

2008/03/10 00:33 URL 編集返信
No title
こんにちは。
革新的なデザインそのものは結構あるのではないかと思います。
最近のウルトラマン何とかとか仮面ライダー何とかとか。
靴にしても最近の若い子が履いている靴は古典とは掛け離れたデザインの物もありますよね。
但し、カッコ良くない。同感です。
ただこれは、(あくまで個人的な見解ですが)カッタウエイさんも私もある種の懐古主義者だからではないかと思うのです。
古い物への思い入れが強いから最近の物が良く思えないのではないかと。
事実、それらの古い物を詳しく知らない子達には、最近のウルトラマンや尖がった靴などは受け入れられてる訳ですから。

ちなみに映画では、007に関しては今の物の方が好きです。

などと、真面目に答えてみました。(笑)

山男

2008/03/10 15:43 URL 編集返信
No title
トンコさん,私は「エイリアン」を見ずして「エイリアン2」を劇場へ見にいったのですが,「エイリアン(一作目)はものすごく怖いらしい」という公開当時の評判だけは聞いていたので,「エイリアン2」における前半の捜索シーンの緊迫感を一層楽しむことができたのを思い出します。
偉大な1あっての2であることは間違いないです。
マッドマックスについては,全く,全く同感です。

カッタウェイ

2008/03/10 22:36 URL 編集返信
No title
山男さん,そうなのです。私は完全に懐古主義なので,曇りめがねで新作を見ていることは否定できません。
こうしたフィルターを取っ払って,純粋にデザインの完成度だけで評価した場合,どうだろう・・と考えるとよく分からなくなってしまいます。後世の評価に委ねるしかないのかもしれません。

カッタウェイ

2008/03/10 22:41 URL 編集返信
No title
わたしは逆に面白かったです。サンダードーム。
バックトゥザフューチャーは,どれもよかったと思います。

ペーパーキャプテン・りヴぁ

2008/03/15 10:37 URL 編集返信
No title
リヴァさん,そういえばバックトゥザフューチャーを「見よう,見よう」と思って未だ見ていないのを思いだしました。ナイキからコンバースに履きかえるシーンがあるんでしたっけ。デロリアンが出てくるのもこの映画だったかな・・。

カッタウェイ

2008/03/15 20:03 URL 編集返信
No title
「子供の頃,何かかっちょいいラインを考案できないかと思って,ノートの端にラインを引きまくったことがありますが」…私もやってたんですヨ、授業中に!!!なんか、ランバードかリーボックっぽいヘンテコなのを書いてひとり悦に入ってました(苦笑)。アシックスのタイガーストライプも、製品によってかっこいいのとそうでないのがあります(断言)。私は、プーマのにあたる2本線の間隔が開き過ぎると間が抜け、狭いほどかっこいいストライプになるという持論があります(えっへん)。だからアシックスの開発者に物申したい気持ちでいっぱいなんです。

アトランタ

2008/04/12 15:15 URL 編集返信
No title
このストライプも単にデザインとしての意味だけでなく、強度を高める機能としての意味があると、アシックスはのたもうておられますね。

アトランタ

2008/04/12 15:30 URL 編集返信
No title
アシックスのタイガーストライプが微妙な角度によって見栄えが変わるというのは私も同意見です。私は短いほうの2本線の平行っぽくならず,後ろ側のラインが末広がりになっているほうが格好いいと感じていました。
スーツのポケット(腰のフラップ付きポケットです)などで,真四角ではなく,外側を少しテーパーさせることでスマートに見せる視覚的効果を狙うことがありますが,それに近いものを感じます。
http://blogs.yahoo.co.jp/cut_away_collar/3698404.html

カッタウェイ

2008/04/12 17:52 URL 編集返信
No title
タイガーストライプがただの見せ掛けではなく,強度を高める効果がある,との効能書きは私も読んだことがあります。
確かに上下つながっていますので,車のストラットタワーバーのように剛性をサポートする効果があるのかも・・。そこまでシビアな使い方をしていないので実感したことはないのですが,抜群に壊れにくい靴だったことは確かです。

カッタウェイ

2008/04/12 17:55 URL 編集返信
No title
タイガーストライプのストライプの角度、間隔は、繊細・微妙で人間国宝級の匠の技が必要です。

アトランタ

2008/04/12 21:04 URL 編集返信
No title
タイガーストライプもナイキのスウッシュも,本当に格好良くバランスが取れているのは奇跡か匠のなせる技だと思います。ナイキのスウッシュは今でもたま~に書くことがありますが,太すぎてもダメだし先端の角度との相関関係もあるし・・で,なかなか上手に書けません。当時モノはテキトーにカットしてなんとなく縫い付けたように(縫い目がガタガタなの多し)見えますが,不思議とカッコいいのが多いのです。

カッタウェイ

2008/04/12 21:46 URL 編集返信
No title
タイガーストライプもナイキのスウッシュも、素晴らしいのは、もう芸術作品と言っても決して言い過ぎじゃないですよね。スポーツする人間の足をカッコよく見せる究極のデザイン、いや意匠という日本語の方がしっくりするかもしれません。

アトランタ

2008/04/12 22:13 URL 編集返信
No title
ナイキのスウッシュはマニアが重要視するので,最近の復刻(ヴィンテージシリーズ)では,相当な出来になってきました。反面,アシックスは,あまり話題にならないようですが,アトランタさんが仰るように,メーカーに声が届いて,角度や間隔に配慮するようになってくれたら嬉しいです。

カッタウェイ

2008/04/12 22:50 URL 編集返信
No title
カッタウェイ様、冒頭にコメントで仰る「キャラメル工場から」とは、プロレタリア文学のそれですか。私は、シモーヌ・ヴェイユ(「工場日記」)とか興味がありますが、私の読解力だとヴェイユの作品は難解で敷居が高いですネ。「蟹工船」とか高校生の時、買って読んだものですが、今は行方不明です(笑)。

アトランタ

2008/05/22 13:35 URL 編集返信
No title
そのプロレタリア文学です。さるブロガーの方が「蟹工船」や徳永直の「太陽のない街」と併せて好きだと仰っていたので,これは読まねば,と思ったのでした。タイトルからして惹き付けられます。

カッタウェイ

2008/05/22 21:01 URL 編集返信
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