FC2ブログ

アシックスタイガーの傑作たち(1) 「ニューヨーク」


今から25年くらい前,アシックスタイガーは世界中のどのスニーカーと比べても遜色のない,素晴らしい傑作を次々と生み出しました。

しかし,残念なことに,それらの多くはいわゆる“運動靴”や“通学靴”の域を超えて評価される機会に恵まれず,時代とともに忘れ去られていく運命にありました。

1990年代前半,日本を席巻したスニーカー・バブル。ナイキが,アディダスが,プーマがファッションアイテムとして揺ぎ無い評価を得,過去の名品がお宝スニーカーとして高い価値を与えられました。

当然のこととして,これらの名作はマニアやバイヤーが発掘し,売買され,大切に保存されることとなり,現在でも(予算さえ潤沢にあれば)ある程度,入手のチャンスがあります。

しかしながら,スニーカー・バブル期にあまり雑誌類に登場することがなかったアシックス・タイガー,ミズノといった国産スニーカーは,抜群の品質と際立った耐久性を備えていたにも関わらず,さびれたスポーツ用品店の片隅でほこりをかぶっていたように思います。

それから10余年が経過しました。当時のスポーツ用品店の多くは,大型店の進出や長年にわたる不景気に耐えかね,廃業してしまったところが少なくないように思います。

これらのお店が所有していたアシックスタイガーやミズノは,どこへ行ってしまったでしょうか。

ゴミに出されてしまったでしょうか,お店の方が普段履きにしているでしょうか,あるいは,今でも,どこかの物置でホコリをかぶっているでしょうか・・?

日本が世界に誇るアシックスタイガーの傑作たち。ネットオークションではある程度高額で取引きされているようですが,その素晴らしい品質や耐久性,そしてデザインほどには評価も知名度も高まってはいません。

古いアシックスタイガーにヴィンテージ・ナイキのような巨額のプレミアがつくようにはなって欲しくありませんが,このまま忘れ去られ,絶滅してしまうようなことになってしまったとしたら,それはあまりにも悲しいことです。

このブログでは,おりふし,昔のアシックスタイガーの傑作を紹介してきましたが,私が所有しているモデルはほんの数足であり,この先もそれほどの数を入手する見込みはありません。

しかしながら,なんとかしてこれら傑作を紹介したいと強く思うようになり,当時の写真をもとに,押入れの色鉛筆を使って下手くそな絵を描いて,掲載してみることとしました。

最初にご紹介するのは1982年頃に人気だった「ニューヨーク」というモデルです。

ボストン,ホノルルなどと共通する重厚な雰囲気を持っていました。サイズによって3個から4個のクッシュホールが装備されます。このクッシュ・ホールはボストンのような真ん丸のデザインではなく,かまくらをひっくり返したような形状になっています。

アシックスはこのクッシュホールにかなりのこだわりを持っていたようで,この後エアーフレックスという縦長の溝やスタビレーション構造という溝だらけのソールを送り出すことになります。

ターサーSPSというモデルでは,屈曲部に備えられたこのエアーフレックスが垂直ではなく斜めに刻まれており,衝撃吸収や屈曲性向上のために試行錯誤を繰り返したことが窺われます。

話をニューヨークに戻しますと,1982年当時,私の学級ではモントリオール3やボストンが人気を博していたのですが,あるときある同級生が「アシックスの新作だぞ」と言って,このニューヨークを履いてきました。

やや地味目の配色と重厚なソールが非常に印象的で,家に帰ってから兄に話したところ「あれは新作どころかセールにかけられている旧モデル」と言われたのを鮮明に覚えています。

どちらの主張が正しかったか,今となっては情報不足で分かりません。しかし,翌年の1983年のカタログでは,ボストンは掲載されていましたが,ニューヨークはオミットされていたように記憶していますので,兄の主張が正しかったのではないかと思います。

ニューヨークは,その後,3度入手の機会がありました。一度目は83年頃,セール品で。二度目は94年頃,長野県のスポーツ用品店で,三度目は近年,ネットオークションで。

いずれも購入を見送ってしまいました。これは当時自分が所有しておらず,また,前述のボストンやモントリオール3ほどには鮮烈な印象を残していないことによります。

しかし,この時代のアシックス特有の重厚さとナイキのテイルウィンド調の配色,独特な形状のクッシュホール,タイガー・ストライプと平行に切り返されるヒールカウンターが相まって,他のどのモデルとも異なる独特の雰囲気を醸し出しているのを再確認するにつけ,四度目の出会いは最後の出会いにしたい,と思わせる,時代を超えた(超えるべき)アシックスタイガーの傑作の一つなのです。
スポンサーサイト



コメント

コメント(15)
No title
新品の、なんか船みたいな(笑)シルエットもすごくよく捉えてらっしゃいますネ。そうそう、シューズの内側もネイビーでした。お兄様もアシックス博士でいらしたのですね。タイガー・ストライプと平行に切り返されるヒールカウンターはスカイセンサー初代も同じですよね。確かにこれでグッとカッコよくなります。カラーリングは今でこそ新奇な印象はありませんが、当時はすごく目を引きました。こんな立派な、完成度が高いスポーツシューズはまだまだ珍しかったですから。

アトランタ

2008/04/29 00:23 URL 編集返信
No title
アトランタさん,ありがとうございます。
思い出せそうで思い出せないというのはとてももどかしいものですので(多々経験あり)少しでもお役に立てたなら望外の幸せです。
兄はアシックスのカタログを2冊持っており,知識は豊富でした。しかし専ら街履き専門だったせいか,アシックスよりナイキを高く評価していました。
後にメタライズの黒銀を買ったのは,一世を風靡したナイキの黒銀マッハランナーへの思いが再燃したせいではないかと思います。ナイキもこの時期,黒銀カラーのスニーカーを出しましたが,マッハランナーのような迫力はなく,そのまま忘れ去られてしまっているように見受けられます。

カッタウェイ

2008/04/29 13:02 URL 編集返信
No title
お久しぶりです。ニューヨークこの間発掘しましたが、サイズが、23,0cmと小さかったので入手しませんでた。カラーは、ネイビー/ホワイトでした。他にも小さいサイズでしたが、アイダホ、ネバダ、数種ありましたが。やはり23,0前後でした。アシックスの80年代の初期は、もっと評価されてのいいとおもいますね。今、見つけてもしっかりとしてます。

NIKECHI

2008/04/30 00:51 URL 編集返信
No title
ishiwa62000さん,ご無沙汰しております。ニューヨーク発掘されましたか!紺ベースの白ラインですか??それは記憶にないです。見てみたいです。
アイダホアイダホ・・思い出せません,どんなモデルでしたか??こちらも気になります。

カッタウェイ

2008/05/01 18:43 URL 編集返信
No title
次回行ったときに写真とってきます。アイダポは、この間オークションに出したアリゾナ2によくにてました。ただこの当時のモデルソールが違うだけでよく似たデザインのモデルが、一杯あったんですね。

NIKECHI

2008/05/02 02:06 URL 編集返信
No title
アリゾナ2・・アリゾナなら分かります。ビギナー向けらしく,オーソドックスなデザインと配色ですよね。よく似たデザイン,確かに沢山あって,よく頭の中でごちゃごちゃになります。

カッタウェイ

2008/05/02 12:50 URL 編集返信
No title
「過去のアシックス・タイガーの傑作を紹介していく」御予定なんですネ。アシックス・タイガー信奉者にとっては感激です。長~い目でアップされるを楽しみにしております。他にコメントをされた方が仰るアイダホ、アリゾナ(これは何となく覚えが)。いつか拝めることを期待しております。ところで、ボストン、ニューヨーク、ホノルルは、ニューバランスのジョギング・シューズなどにも通ずる重厚さ、ボリューム感が出ている感じがします。本格的にアメリカ市場を狙ったモデルなのでしょうか。興味ぶかいです。

アトランタ

2008/05/02 18:48 URL 編集返信
No title
アリゾナ2は、自分のブログにアップしてますので見てみてください。この間見やすくアシックス、オニツカ画像の部屋作りました。よかったらみてください。
http://nikechi.cocolog-nifty.com/nikki/

NIKECHI

2008/05/02 21:54 URL 編集返信
No title
ishiwa62000様、はじめまして。アトランタの名前でたびたびコメントさせていたたいている者です。貴ブログを知らずに拝見しておりました。素晴らしくて、感激しております。アリゾナも拝むことができました。時折、そちらにお邪魔させていたたきたいと思います。有難うございました。

アトランタ

2008/05/02 22:12 URL 編集返信
No title
紹介したいアシックスの傑作はいくつもあるのですが,写真を持っていなかったり,一部しか写っていなかったり,というものが多く,時間がかかりそうです。今回のゲットラークも真横からの写真がなく,想像による部分が少なくありません。

カッタウェイ

2008/05/02 23:12 URL 編集返信
No title
ishiwa62000さん,私も貴ブログを拝見しております。オークションも注目しています。良心的な価格設定が素晴らしいと思います。

カッタウェイ

2008/05/02 23:13 URL 編集返信
No title
ニューヨークのデビューは79~81年のどれかだったとおもいます。当時の資料に広告も載っているのがまだあるはずですが、田舎で処分されているかもしれません・・・。
最初はたしか8, 000円でしたが、スカイセンサーと同様、段階的に値上げしました。どちらを買うか迷ったものです。

inohead

2009/05/11 02:23 URL 編集返信
No title
ニューヨークはかなりアシックスのかなり初期のモデルだったのですね。82年に私が見かけたときは,もう新型とはいえなかったと知り,すっきりしました。
当時の広告,見てみたいです。どんな宣伝文句だったのか気になります。

カッタウェイ

2009/05/11 20:06 URL 編集返信
No title
鎌倉書房(?)の『ザ・スニーカーブック』の表紙裏の見開き広告だったかと。左足を真横からドーンとレイアウト。背景はマンハッタンの超高層ビル群だったような。宣伝文句、どんなでしたかねぇ・・・。あの本が捨てられてさえいなければいいんですが。

inohead

2010/01/31 00:05 URL 編集返信
No title
inoheadさん,お久しぶりです。ニューヨークの広告はそんなにゴージャスな雰囲気だったのですか。見てみたいですねぇ・・その広告。発掘を期待しております・・。

カッタウェイ

2010/01/31 13:37 URL 編集返信
コメント投稿
非公開コメント

カテゴリ

検索フォーム

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

月別アーカイブ

ジャンルランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
400位
ジャンルランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
服飾
5位
サブジャンルランキングを見る>>