FC2ブログ

本格靴と科学のチカラ



オールソールに出していたポールセン・スコーンが戻ってきました。重厚なレンデンバッハのソール。恐らく,底材の品質面では,デフォルトより良くなっていると思います。

気になったことが2点

トゥ・スプリングが消えうせて,ガットも真っ青なアイロン状態になっています。履きこんでウェルトや中底が柔らかくなったところに新品のオークバークが装着されたので,返りがついていないソールに引っ張られてなす術なくペタンコになってしまったものと思われます。

私はオールソールを初めて経験(釣りこみ直しのクレバリーや妻のブーツ(フライ)では経験済み)したので他と比べる術がありませんが,こうなるのは必然なのでしょうか。オリジナルのラストと底材を使うファクトリー・リペアとの違いなのか・・ただ単にレンデンバッハが固すぎたのか。

もう一つ,ウェルトの表面がバキバキと剥がれているところが多数存在します。石畳の上をキングタイガーが走行したかのように,ウエルトの凸凹(ファジングというのでしょうか)の凸が剥がれてきております。

その昔,ある掲示板で非常に博識な方が「ウエルトも革なので手入れを忘れずに」というようなことを仰っていたので,アッパー同様にケアもしてきたつもりなのですが,これだけ表面が削れると,二回目のオールソールはリウェルトしないと難しそうです。

グッドイヤー・ウェルト製法の売りは,アッパーと本底がダイレクトに縫われておらず,ウェルトを介しているため,複数回の修理が可能,というところにあると思うのですが,そのウェルトが複数回の修理に耐えられないのでは,あまり意味がなくなってしまうように思います。

ただ,今回のポールセン・スコーンは私の手に渡る前にどこかでデッドストックとして保管されていたものですので,そこでウェルトが劣化したのかもしれませんし,あるいはオールソールの手際に問題があったのかもしれません。

と弁護しておきながら,頭を離れないのが,この靴のウェルトが革ではないのではないかという可能性です。

パーティクルボード(木片を接着剤と混ぜて熱圧成型するもの)をヒールの積み上げに使っている靴がありますが,私が基本的に革だと思っていた本格靴のウェルトにも,パーティクルボードあるいは類似の素材を使っている場合があるそうです。

「かなりケミカルなものを使っている」

分かる方には分かる,あの修理人さんのコメントが頭をよぎります。私はケミカルなもの=釣りこみ時に使うホットメルトのことか,底付け時にソールを縫うだけでなく接着剤も併用している・・ということだと思っていました。

どちらも通気性を損ねるとか,靴の中からホットメルトがはみ出ていて興ざめるとか,そうした問題は生じますが,耐久性とはあまり関係のないことのように思われ,このコメントの意図するところが実はよく分かっていなかったのですが,ひょっとすると,素材そのもののことに言及していたのでしょうか。

パーティクルボードは,木片が水を吸うため,耐水性に灘があるという話を聞きます。靴の部材用のものは,そのあたりにも工夫があるのかもしれませんが,革と比べてどうなのか,革だと思って手入れしていても良いものなのか,気になります。

私は,アッパーやライニング,底材の品質ばかり気にして(シャンクやフィラーも少しだけ),積み上げやウェルトについてはほとんど気にしていませんでした。

アッパーや底材のタンナーを気にするよりも,ある意味ではこちらの素材の違いのほうが重要なのではないかとすら思います。

できれば,各メーカーさんには,私のような節穴目の靴好きのために,全素材の表示をお願いしたいです。

アッパー,ライニング,ウェルト,フィラー,シャンク,積み上げ,先芯,月型芯・・表示項目は沢山ありそうです。店員さんが教えてくださるのなら不要かもしれませんが,毎回手を煩わせるのも恐縮なので,是非紙タグ表示を。
スポンサーサイト



コメント

コメント(9)
No title
文中に懐かしいセリフがあって、ニヤッとしちゃいます(笑)。分かりにくい箇所で手抜きされると、騙されたみたいで気分よろしくないですよね……。イタリア製高級靴は、英国製よりもさらに、"巧妙なコストダウン"が上手いですよね。
部材の素材表示も面白そうです!(笑)「○○年から、※※のウェルトはパーティクル・ボードに変更」とか、雑誌で特集組んでくれたら、また面白いです。
僕はパーティクル・ボードでも気にせずクリームを塗っていたのですが、カッタウェイさんの記事からすると、あまり意味がないのかもですね……。

dai*uk*_yam**ita

2009/09/21 12:05 URL 編集返信
No title
この後さる掲示板に書き込みがあった○○擁護隊の話が大好きなのです・・。
コストダウンした結果,価格が下がるなら消費者にとってもメリットがあるので,否定するつもりはないのですが,素材そのものを人工的な素材に変更するのは最後の手段とすべきではないかというのが,私の個人的な価値観であります。
革の積み上げやウエルトを人知れず人工素材に変更してコストダウンを図っておいて,目に付きやすい加工(ヒドゥン・チャネルソールにしたり半カラス仕上げにしたり,ウェストを軽く削り込んだり)を施して価格を維持又は値上げしているのだとしたら,いささか残念であります。

カッタウェイ

2009/09/21 16:48 URL 編集返信
No title
自分の靴の中で,明らかにパーティ来るボード(誤変換したけど面白いのでこのままにしておこう)らしきものを使っているのがないか,点検したのですが,よく分かりませんでした。
ただ,妻のジョッパー(イタリア製)のトップリフトは,削れた部分が紙のようになっていて,粒のように割れた部分もあり,触った感じ,革っぽくありませんでした。これがパーティ来るボード?
それから,妻のスペイン製のブーツ。ウェルトと本底の境目を指で押すと,ウェルトだけ「グニャッ」と柔らかく曲がりました。とともに,ウェルトの横部分に塗られていた革調の塗装がひび割れました。これは樹脂ではないかと思います。人の靴とはいえ気付かなかった自分が情けないです。

カッタウェイ

2009/09/21 16:48 URL 編集返信
No title
渋谷東急本店の靴売り場に置いてあった、ユニオン・インペリアルの製靴過程サンプルのウェルトをいじり回してきました。が、本革としか思えませんでした。
ユニオン・インペリアルはハンドソーンとは言え価格帯を抑えてあるので、もしかするとコストダウンのため人工素材ウェルトを使っているかと思ったんですけど。国産でもあからさまな大量生産をせず、それなりのグレードを維持しているメーカーは本革ウェルトなのかも知れません。だとすると単純に売価を抑えているから人工素材ウェルトとも言い切れなくなりますね。
まあ分解サンプルはあくまでディスプレイ用で、製品のウェルトは人工素材の可能性もありますが……。

tas**48sy

2009/09/21 23:12 URL 編集返信
No title
人工素材を使ったウェルトや積み上げ,トップリフトには革と比べて欠点があるのかないのか,あるなら,それを一般的な消費者が承知しているのかどうか,なんだか気になります。「これはパーティ来るボードじゃなかろうか??」と疑いの眼でチェックすれば判別できるかもしれませんが,着色されてテカテカに仕上げられていると,分からない場合もあろうかと思います。
指で押したりすれば素材の違いが感じられそうですが,商品ですから,キズでもつけたら大変です。そうするとやはり品質表示をしていただくのが一番では・・。

カッタウェイ

2009/09/21 23:25 URL 編集返信
No title
私の持っているC&Jもオールソールしたらキングタイガー状態になって帰ってきました。(オールソール何度かしたことありますがこれだけ凹凸状態になった)これは修理業者が雑にあつかったからだと思っていたのですが。。。ショックです。
ちなみにC&J製といわれているロイドの靴は問題なかったです。使うべきところに適切な素材を用いていること、そういう意味で評価だ高いのでしょうか。

山田

2009/09/22 01:51 URL 編集返信
No title
山田さんのウェルトもキングタイガーが。ウェルトの素材との因果関係は全く分かりませんが,いわゆる「本格靴」と言われている靴に意外な素材が使われていたことはやはりショックです。
そういえば,あるメーカーがさる企業の傘下になったとき,「中底が革じゃなくなった」と残念がっていた販売業者さんがいらっしゃいましたが,こちらにも人工素材の影が忍び寄っていたらショックです。

カッタウェイ

2009/09/22 15:37 URL 編集返信
No title
遅ればせながら、、

ウェルトを「キングタイガー」が踏みにじる、可能性について検証できずじまいで、モヤモヤのところなのですけれども、靴の学校で学んだ、知り合いの意見ですけれども、出し縫いの機械で縫った場合、比較的きれいに縫いあがるのですけども、手縫いの場合熟練されておられない場合、ウェルトに、ささくれが生じる場合があるらしいです。
もちろん、あとでととのえられるはずなのですけれども、「キングタイガー」のあとに、「ヤクトタィガー」が走行したよもしれません。

zakoppe

2009/09/28 02:17 URL 編集返信
No title
熟練していない手縫い(出し縫いの)の場合,ウェルトがささくれる・・それは知りませんでした。穴の開いた修理品のウェルトに手で縫いをかけるときも同様でしょうか・・。

>「キングタイガー」のあとに、「ヤクトタィガー」が走行
途中で止まらなかっただけ,運がよかったということでしょうか・・・。

カッタウェイ

2009/09/28 19:13 URL 編集返信
コメント投稿
非公開コメント

カテゴリ

検索フォーム

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

月別アーカイブ

ジャンルランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
400位
ジャンルランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
服飾
5位
サブジャンルランキングを見る>>