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本格靴と「圧縮ボード」

前回,本格靴と呼ばれる靴の中にも,パーティクルボードのように人工的に加工された素材が使われている,というようなことを書かせていただきました。

この人工的に加工された素材,というのがどのようなものか,少し調べてみました。嘘,間違い,勘違いが含まれている可能性があります。どうか予めご了承願います。

1)レザーボード

革くず等を繊維状にし,樹脂と混合させ成型したもの。靴では,月型芯や積み上げに使用される。

2)パルプボード

古紙等を原料としたパルプを加工したボード材。靴では,中底に多々使用される(グッドイヤー・ウェルトも含むとか)ほか,月型芯にも使用される。無印良品のボックスなんかで見かける素材です。

3)パーティクルボード

木質ボードの一種で,木片に接着剤を混ぜ加圧成型する。

4)MDF

木質ボードの一種で,木質繊維に接着剤を混ぜ加圧成型する。これも無印良品の棚なんかで見かけます。

と,色々な種類がありますが,どれも素材を細かくして圧縮成型する点で恐らく共通していると思います。

どれが靴で使われているか,把握しきれていないので,まとめて“圧縮ボード”という呼び方をしたいと思います。(間違っていたらそこはかとなくご指摘下さいませ)

この圧縮ボード,中底なんかでは数十年前から使われており相当メジャーなのだとか。

手持ちの靴をひっくり返してみましたが,「絶対にこれは圧縮ボードだ!」というのが見つかりませんでした。が,妻のワークブーツ(特価9,800円。メーカーは伏せます)でヒット。



ウェルトがものすごく革ぽくない。パサパサしていて,まるで段ボールのようです。内緒で,少しだけウェルトの端をちぎって(おいおい)みました。

そうするとですね,破片がチューインガムのように,グニュ~っと・・。糸を引いたのであります。
間違いない!これこそが圧縮ボードだ!  ・・・と思います(煮え切らない)。

中底も,一見するとヌメ革ですが,これまたそこはかとなく紙っぽい気が・・。さすがにこれはちぎれませんでした。

もう一つ,妻のイタリア製のスリップオン。硬質樹脂?のウェルトらしきものが装着されておりますが,紫外線の影響か,割れてしまっております。ただ,インソールにマッケイ縫いがかかっており,シングルソールですので,このウェルトと出し縫い(完全同一ピッチ)は,純粋な飾りではないかと推察します。




少し調べてみると,革靴のパーツに圧縮ボードを使うということは,一般的な靴の世界では,従前から当然のように行われてきたことで,これが「本格靴」というある意味特殊なカテゴリーの中で,なんというか,オーソライズされていないまま使用されているケースがある,というのが現状なのではないでしょうか。

靴ブームも行くところまで行ってしまった感があって,タンナーを見分けるとか,接着剤で工場を当てる(本当でしょうか?私はそうした方に出会ったことがありません・・)とか,そういう目利きもとても面白いとは思うのですけれど,同じファクトリーでも,圧縮ボードと本革を使い分けていたり,それが価格に反映されていたりいなかったり,履き心地や耐久性に影響があるのかないのか,手入れの仕方は同じでいいのか異なるのか,そんな目利きができるようになれば,より賢い消費者になれるのではないか・・そんな気がします。

手にした靴が,10年履けるかどうかは,本当のところ,10年履いてみないと分からないのですが,それを推察する一つの手助けにはなるかもしれません。
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コメント

コメント(20)
No title
圧縮ボードでも質が変わらない或いは圧縮ボードの方が本革よりメリットがあるなら、キチン説明してもいいと思いますね。
本当にそんなに圧縮ボードのウェルトが製靴現場で普及しているのか判断できないこちら側としては、説明がないイコール手抜きをバラしたくないんだなと邪推するのも仕方ないと言うか。
国民消費者センター辺りで素材調査やってくれませんかねえ。或いは月刊特選街でも可。

tas**48sy

2009/09/23 13:33 URL 編集返信
No title
これまでは,ファクトリーが判明したら,その靴のグレードまで見抜いたような気分になっていましたが,これからは部材まで目を凝らして,その靴そのものの価値を慎重に見極めるよう精進します。
代替品を使うなら,堂々と説明して欲しいです。手入れの仕方や使用上の注意も違ってくるでしょうから。
できれば,修理の際に交換可能な部位だけにして欲しいです。積み上げやウェルトは,その気になれば交換可能ですが,中底を交換するのは,ファクトリーリペアでなければ危険な香りがします。
最高級靴○本で,職人さんが解説しているのに,この当りに全く触れていないのは残念なことです。
素材調査,したいところですが田舎ゆえ難しいです。あまり騒ぎ立てると,天井から情報剥奪局に袋詰めにされそう(未来世紀ブラジル)なので,やはり月刊特選街を待ちます。

カッタウェイ

2009/09/23 14:07 URL 編集返信
No title
おばんで~す。

説明、私も全く同意です。変更するのが後ろめたい理由でないなら堂々と「これこれこうとの考えに基づき」と消費者に理解を求めるべきでしょう。
憤慨する様な理由でない事を願います。

そういえば、もう一度よく見直して気が付いたのですが、私のリーガルはダブルソールの一枚目(ウェルトの次)が樹脂で2枚目(接地面)がレザーになっています・・・ここまで来ると何がしたいのかわかりません(笑)。ファクトリーリペアに出した事をちょっと後悔しています。

I.S.

2009/09/24 00:38 URL 編集返信
No title
説明が欲しいですよね。コスト削減以外に,前向きな理由があるといいのですが。積み上げについては,レザーボードのほうがかえって履き心地がよいとの御意見をどこかのサイトで拝見しました。
合成底とレザーのサンドイッチ。上下逆なら,雨天対策になるのかもしれませんが,この場合は・・??

カッタウェイ

2009/09/24 08:01 URL 編集返信
No title
圧縮ボード!上手いネーミングですね(笑)。こう種類別に見ると、"圧縮ボード"にもそれぞれ特性、性能差がありそうですね。
パーツでコストダウンを図っていて、中には途中工程をアジアに委託しているブランドもあるのに、ここ10年で価格が急上昇している英国製高級既製靴。一方で、作りも価格も頑張っているブランドもちゃんと存在するだけに(特に日本製)、この現状は「?」と思っちゃいますね……。

dai*uk*_yam**ita

2009/09/24 21:25 URL 編集返信
No title
山下さん,なんというか,この10年で,本当に色んなことが起こって,ついていけてないのですが,自分が今,一から靴を揃えるなら,当時とはかなり違う選択をしそうです。
新しい世代の靴好きの方たちは,現状をどのように見ておられるのでしょう・・。

カッタウェイ

2009/09/24 21:51 URL 編集返信
No title
あ~、私新世代です(笑)。凝りだしたのはここ4年ほどなので・・・。
感じるのは、各メーカーの均質化ですね。
ロングノーズ・ポインテッドトゥの靴って売りやすいんだと思うんです。ウィズを長さでカバーしても、身長とのバランスを無視すればフォルムがあまりおかしくなりませんから。大体の人は試し履きしても鏡で全身までは見ませんし。更にスクエアならトゥも崩れにくい。
それで細身の靴ばっかり作る→売れる→余所も真似する→似た様な靴が増える、という流れがあるように思います。
それと見えるところだけこだわった作り。履き心地、アッパーの耐久性に関わるところは限界までコストダウンして、仕上げ部分に手間を掛けるやり方。雑誌の煽り文句も「こんなディティールを取り入れているから丁寧に作られていて履き心地が良い」っていうの増えた気がします。

I.S.

2009/09/26 19:54 URL 編集返信
No title
1990年代初頭のヴィンテージ・ジーンズ人気のときに感じたのですが,セルビッジとか隠しリベットとか,細部のディテールだけが一人歩きしだすと,もうブームも終焉が近いのかなと・・。あの頃は復刻版の出来がよくなっていって,「ジーンズの真価が知れわたった」と一人頷いていたら,直後にレーヨンジーンズのブームが来て,衝撃を受けました。
ジーンズもスーツも,もちろん靴も,実際に身につけて,鏡の前で一歩下がって見てみると,近すぎて見えなかったものが見えてきたりするのかも・・と思います。私の足は実寸で27センチくらいありますが,最近,私より極端に足が大きい人が増えまくって,少し驚いているのであります。

カッタウェイ

2009/09/26 20:57 URL 編集返信
No title
靴趣味歴4年で新世代なら、やっと2年生の私は次世代を名乗りましょう(笑)。

昨今のロングノーズ・ポインテッドトゥの靴は、似合う体格が難しいのは勿論、合わせるスタイルも難しいんじゃなかろうかと、個人的には思っていました。
パンツの裾幅とのバランスで考えても、最近主流の裾口細身パンツでロングノーズは靴のノーズばかりが突出して見えるし、裾口ゆったりのパンツにポインテッドの靴じゃトゥが細すぎて弱々しく見えると思うんですよ。

靴を試し履きした足元だけ確認したのでは、この辺のバランスは見えづらいでしょうね。

しかしカッタウェイさんは、実寸27cmですと靴サイズ換算では28cm級になるんでしょうか? 私は逆に小さくて実寸24cmです。メーカーによってはレディスも履けてしまうと言う……。

tas**48sy

2009/09/26 22:53 URL 編集返信
No title
私は左足が実寸27センチで,右はハーフサイズ弱小さいらしいです。靴サイズでは,英国サイズで8ハーフ中心です。スニーカーだと28センチを買うことも多々ありますです。ナローシェイプに見せたいときもあるのですが,単純にノーズを伸ばすと,仰るように衣服とのバランスを崩す可能性がありますし,無理矢理極端なロングノーズにした靴は,「本来あるべきノーズ」のようなものがなんとなく浮かび上がってくるので,改装後の戦艦山城の艦橋のような不自然さを感じます・・(いつもこんな表現しかできなくて情けない)。

カッタウェイ

2009/09/27 00:43 URL 編集返信
No title
本来の指先位置よりも遥か前方にノーズがあると、歩く際の力点から先は、おっしゃる通り反っくり返ってしまうでしょうね。魔女の靴とかピエロの靴みたいに。

そういう過剰な反り返りノーズの靴って「ホントにおしゃれ?」とか思うのは感覚が古いんでしょうか……取り敢えず目立った者勝ち的な押し付けがましいものを、いささかと言わず感じるのですが。
アメリカン・ポップアート感覚と言うか、誰の目にも判りやすい目立ち方なら、それが奇天烈で不自然でも「個性的」のひと言で片付けてしまうと言うか。

本題に戻しますが、銀座の某ビスポーク靴工房の冷やかしに行った際に圧縮ボード靴について質問してみました。
が、ヒールやソールはともかく、ウェルトに使っているという話は聞いた事がないそうです。
まあ同業であっても大手メーカーの内情は表に出てきにくいですし、聞いた事がないから圧縮ボードウェルトでは無い、とも言い切れませんが。

tas**48sy

2009/09/27 23:37 URL 編集返信
No title
超ロングノーズ,ポインテッドの靴,大昔(600年くらい前とか)に流行したらしい・・なんて記事を読みました。そう考えると,流行の螺旋の中に消えては現れる,ある意味,マストアイテムなのかも・・。
圧縮ボードの調査,ありがとうございます。ビスポーク工房の方もお聞きになったことがないのですね・・。多種多様な靴を日々修理されておられる修理屋さんが一番詳しいのかもしれませんね。
そういえばUWの中川さんがBEGINでグリーンやウエストンとともに「チャーチのシャノン」をランク入りさせておられて「やっぱりチャーチのシャノンは何か特別な作りなのかな?」と想像たくましくさせてしまいました。下に載っていた写真,グリーンの分解写真として紹介されていますが,中底に掬い縫いの跡らしきものが浮き出ています。ひょっとして,これが(チャーチは上の写真だと紹介されているけど)224シャノン?なんてことはないかなぁ・・。節穴目の私には判別できませんでした(今月号は久しぶりに買って読みました。)

カッタウェイ

2009/09/28 00:10 URL 編集返信
No title
こんばんは、画期的な、レポートと感嘆させていただきつつ、次の記事が掲載される前にと、確証を得ずして、恐縮し、コメントさせていただきます。

たしかに、近頃お見受けする、レディースシューズには、内外ふくめて、新しい素材のソールが使われているように感じます。とにかく通常の接着剤では対応できなく、プライマーで下処理しないとくっつかないものも、多々あります。
あと、ある価格帯までの、メンズのミッドソール、中底などは「圧縮ボード」が多いようです。
ほとんど、修理に出されるころには、亀裂がみられます。
ウェルトでも、「圧縮ボード」ポイのは、マッケイ式かセメント式でやはり亀裂を見かけます。革の亀裂とちがって、切れてしまっています。
修理するときは、仕入れられる範囲で、「圧縮ボード」が無いので、革になってしまいます。

同僚の、説では、それ以上の、グレードで、グッドイヤーまたは、手縫いであれば、ウェルトは革しかありえないのではないかと申しております。

zakoppe

2009/09/28 01:41 URL 編集返信
No title
僕自身は、業界歴数十年の方2名から、ウェルトに圧縮ボード使用の場合があると聞きました。そして、そのうちお一人は、グッドイヤー・ウェルテッド製法の靴にも使用していると語っておりました。どちらが正しいのでしょう……?
僕も調査不足かもしれないので、もっと詳しく調べてみます~。

dai*uk*_yam**ita

2009/09/28 17:13 URL 編集返信
No title
昔に流行した靴ってことは苔を詰めないといけないわけですね(笑)

下駄箱の中身を眺めれば眺めるほど、「このソールとの色の違いはもしや・・・」「不自然な光沢があるがまさか・・・」と疑念が湧いてきてしまいます。今のところジェットモグラが駆け抜けていった跡はありませんが。う~む。
そういえばオールソールした靴に変わった構造のものがありました。ウェルトを薄くしてその上に飾りのストーム(L字)を出し縫いでくっつけてあるのですが、そのためにウェルトがリソールに構造上耐えられくなっているというものです。修理屋さんと一緒に首を捻りました。何がしたいんだか・・・。

I.S.

2009/09/28 22:50 URL 編集返信
No title
ジェットモグラ・・マグマライザーみたいなやつですよね。ベルシダーのほうが近いかな・・。
閲覧いただいている方を不安に陥れてしまっているでしょうか。リソール不可のストームウエルト,耐久性度外視の刹那的な美しさを狙ったのか・・。
改めてウエルトを眺めると,靴それぞれで固さや仕上げが異なり,面白いなぁ,と思いました。ストームウエルトは特に面白いかも・・。

カッタウェイ

2009/09/28 23:03 URL 編集返信
No title
はっ、私の軽率な早とちりでありました。(2009/9/28(月) 午前 1:41)コメントの「同僚の、説では、それ以上の・・・革しかありえないのではないかと申しております。」は勉強不足で事実を知らない、軽率なコメントでした。

不愉快な思いなされた方も、多々おられると思います。
反省いたしまして、心からお詫びもうしあげます。

すみませんでした。

もっと精進いたします!

zakoppe

2009/09/29 00:26 URL 編集返信
No title
シルエットはマグマライザーの方がかっこいいと思うんですけど、実際に地中に潜る映像はジェットモグラの方がそれっぽく見えますね。
昔のアオシマの箱には「JET MOLE」の文字が小さく書いてあって、Mole=土竜を知らなかった小学生の当時、「MO」と「LE」の間の「GU」が脱字してると真剣に思っていました(笑)。

もうウェルトとは何の関係も無い話で恐縮です。

tas**48sy

2009/09/29 20:25 URL 編集返信
No title
雑魚さん,そんな,軽率だなどととんでもないことです。実際に靴を修理されている方からの経験談に裏打ちされたコメントをいただいていることは,いつも本当に感謝していることであり,いい加減な推察の記事しか書けないブログ主(私)にとって得がたい宝であります。
いつも感謝しています。どうかこれからも引き続き御意見・ご指導くださいませ。

カッタウェイ

2009/09/29 23:01 URL 編集返信
No title
そうかもしれません,マグマライザーは水平に置かれている写真が真っ先に思い浮かびます。ドラミちゃんの地底探検車もそうですが,地下へ突入するドリル付きの車は少年心を刺激します。
アオシマからジェットモグラが。アオシマは安くて買いやすかった覚えがあります。MOLE=モグラは,私は小学生どころか,英国トラッド好きになった30代になってようやく,モールスキンという生地に出会って初めて知りました。
ウエルトと関係ない話,歓迎です。今,頭の中ではゴース星人の高速言語と拉致されたアマギ隊員の姿がぐるぐるしています。
(そういえば昔,この話を記事にしたことも・・)

カッタウェイ

2009/09/29 23:12 URL 編集返信
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