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英国へツイードのスリーピースをMTO(完成編)

10月15日に英国のBOOKSTERへオーダーしたツイード・スリーピースがようやく届きました。

繁忙期にクリスマス休暇が加わったせいで,約11週間の納期がかかりましたが,こちらからの問い合わせにも親切に応えてくれ,PERCELの追跡番号を教えてくれるなど,不安を感じさせることのない対応でした。

BOOKSTERは採寸も補正もない,いわゆるパターン・オーダーなのですが,生地や裏地,そしてオプションの選択肢が非常に広く,オーダーのプロセス(悩んだり悩んだり)がかなり楽しめます。

選択肢が広いということは,失敗する可能性も少なからずあるということで,それがまたワクワクさせてくれるのです・・。




こんな感じで届きます。外国から巨大な荷物が届くというのは,何やら非日常的で,それだけで気分が高揚します。




正面図です。ブラウン系のヘリンボーンに赤のプレイド,クラレット(赤紫)のライニングという組み合わせ。

私は,秋冬系のライニングはクラレットやバーガンディが好き(陰体質なので,赤い裏地を身に付けて元気を出そうとしている)です。ロイヤルブルーやアクアのライニングも美しいですが,侘しい冬の朝に袖を通す気にはなれませんです。

ただ,生地との相性がありますので,今回は大丈夫かなぁ,とかなり心配だったのです。こうして実物を見ていると,生地に赤が使われているせいか,思いのほか相性がよろしいのではないかと,胸を撫で下ろしております。




後ろから見た図です。アクションプリーツ付きです。「どんなもんかなぁ~,スリーピースのジャケットでアクションプリーツは・・」と随分悩みました。注文して取り返しがつかなくなってからも悩みました(それは後悔しているということか)。

どうしてアクションプリーツを入れたかというと,戦前に流行したというバイスイング・ジャケットの後姿が格好良く見えたのと,M-422AやG-1フライトジャケットに装備されているゴムと連動したアクションプリーツがものすごく着心地がよくて,かつ後姿が格好よかったため,以来「アクションプリーツもいっしょにいかがですか?」と誘われると断れない体質になってしまっているのです。

果たしてこのBOOKSTERのアクションプリーツも背中にゴムが二本通してありました。これ,エドウィン・ロサリオみたいに脇を上げて肩甲骨を開いたり閉じたりすると,背中ごしにゴムが伸び縮みしているのが分かり,すこぶる気持ちいいです。そのままカニ歩きしてブランブルをノックアウトです。




ライニングです。ビスポーク・スーツのように注文日付や名前を入れるラベルが付いています。贅沢と我がままを言ってしまうと,ここに日付と名前が入っていたら,さらに気分は盛り上がるような気がします。




いわゆるお台場仕上げというものでしょうか。私はここは拘らないことにしているのですが,BOOKSTERのカッターナイフのようなお台場はかわいくて好きです。

ポケットのフラップの下にループがあり,ボタンはそこにひっかけるようになっています。その後,この三角の布をボタンにかぶせるように作られておりますです。




上襟の裏の両端には生地が折り返してあります。オーダースーツの場合,フィッターの好みで襟裏は必ず共地を使うので,私はこの仕様の服は初めて手にします。

私はこの襟の折り返しを見ると,いつも寅さんのジャケットを思い出します。




袖口です。貫通していてもいなくても,どうも私はここのボタンホールのかがりが今ひとつ好きになれません。もっと丁寧なほうがいいとか手縫いがいいとかいうわけでなく,荒くてもいいのですが,なんとなく好きでないのです。理由はよく分かりません。これなら,ボタンホールもかざりステッチも何も入れないほうがかえって好きです。




ウエストコートです。私は,いかなる場合もラペル付きが好きです。




背中はさんざん迷った挙句,クラレットにしました。派手すぎて職場から放逐されないでしょうか。

真冬はジャージあり,フライトジャケットあり,毛布をかぶる人ありの職場ですので,まだ真っ当なほうではないか,と自分では思っているのですが,ジャケットを脱ぐのに勇気が要りそうです。




尾錠です。二本針ではありません。引っ張るとスルスル滑ってしまう飾りにしかならないタイプでもありません。私があまり好きでない,二本送り,というのでしょうか,リーバイスの復刻版によく使われていたタイプの尾錠です。

ただ,色がシルバーなので,よく見る黒いものよりは好みです。テープの通し方は,なんとなく本来の設計と異なるような気がしたのですが,とりあえずデフォルトのままにしてあります。




横から見たところ。後ろの生地のほうが,前よりかなり長いです。PAKEMAN CATTO & CARTERのカタログでもそうなっていました。これが英国式なのでしょうか??

私がお願いしているフィッターさんは,あまり後ろを長くするのを(すこぶる)嫌がります。

あまりウエストコートの後ろが長いと見栄えは悪いと思うのですが,前かがみになったときシャツ(とブレイシーズ)がモロ見えにならないという点は良いような気がします。




これなんだか分かりますか・・。
トラウザーズの内側です。腰から膝まで,ぐるっとクラレットのライニングが張り巡らされています。生地がツイードなので,ちくちくするかと思い,軟弱にも FULL TO KNEEのライニングをお願いしました。

ここまでクラレットにする必要は全くないのですが,別の色にするのも統一性がないかと思い,同じ色を選んだ次第です。が,こうして見ると,やはり不自然な感じもします。




サイドアジャスターです。全く見えませんが,裏側に白いブレイシーズ留めボタンが6個付いています。なんだかんだで,ウエスト周りには12個のボタンが縫い付けられています。また,腰裏には,シャツがずり上がらないよう,滑り止めが貼り巡らされています。




裾はターンナップでお願いしました。国内のお直しに比べて,かなりギリギリのところで生地を折り返し,豪快にまつって(多分恐らく絶対にミシンで)います。画像では分かりにくいのですが,生地の薄いところは外側を,生地が重なる分厚いところはかなり内側をまつっています。

分厚いところは乗り越えるときにミシンが振られるというわけでしょうか。

裾には特に補強布は付いておりませんでした。



・・・肝心の中身なのですが,袖が太すぎるきらいはあるものの(現在では,これも変更できるようです)胸部分がふわりとしてウエストが強く絞られる英国っぽい(と私が感じる)シルエットは既製とはいえそれなりに備えており,格好良いと思いました。

ウエストコートは,もっとタイトなほうがいいかな,と思いましたが,既製としては十分で,後は補正を入れれば良いことかとも思います。

トラウザーズは,思っていたより細身で,股上は思っていたほど深くはありませんでした。

といっても,腰骨にひっかけるようなローライズに慣れている方は,かなり深く感じられると思います。

それから,股部分のフィッティングについて言及すると,以前履いていたチェスターバリー製のトラウザーズもそうだったのですが,軽くホワイトベース責め(?)にあっているかのような感触と,ジッパーがやや上方向に付きすぎているような感覚があります。

これは既製やその延長にあるパターン・オーダーでは如何ともしがたいのでありましょう,きっと・・。

この違和感は,国内企画のトラウザーズでは,一度も感じたことがないのです。私の体系が型紙とマッチしないのか,英国ではこのフィット感が好まれるのか,私には分かりません。


と,細かいことを色々並べ立てましたが,全体的な感想としては,最近稀な程の「大満足」でありました。

頼むときも待っている間も届いてからも,とにかく面白く,楽しい,このBOOKSTERのMTOが,この先もずっと続くことを願ってやみません。

私も,これをベースにノーフォークジャケットやコーデュロイかモールスキンのトラウザーズ,タッターソールチェックのウエストコートなど色々頼みたいのですが,納期を考えると,届いた頃にはもう出番がないことでしょう。

ツクツクボウシが鳴く頃になったら,また注文を検討したいと思います。長文にお付き合いいただきありがとうございました。
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コメント

コメント(12)
No title
カッタウェイ様
ついに完成しましたね。
私、このブログでbooksterを知ってから興味が湧き、ウェストコートを作りたくなり、生地サンプルを入手しました。
オーダーするかどうかはカッタウェイ様の完成報告を検証してからと思い、一日千秋の思いで待っておりました、狡猾くてすみません(笑)
確かに、後ろの生地はかなり長いですねぇ。ちょっと尻尾を連想してしまいます(笑)
私は「後ろ生地の長さ=前の生地の長さ」で「終端(腰に近い方)で、後ろ生地と前の生地の間に数センチのスリット」というのが理想なのですが・・・
それと、尾錠のテープの通し方ですが、私も本来の設計と異なるような気がしますね、これではせっかくきゅっと締めてもスルスルと緩んでしまい、「錠」としての機能を果たさないのではないでしょうか?
私も、ツクツクボウシが鳴く頃になったら注文を検討したいと思います。

dunsford

2010/01/05 09:19 URL 編集返信
No title
はじめまして。
12月のはじめにBOOKSTERに4つボタンのジャケットオーダーしたあと不安になってネットを徘徊しているうちにこちたにたどり着きました。
袖が太すぎるというのがちょっと気になりますが、なかなかいい出来ですね。
これで再度オーダーすることに踏ん切りがつきました。
明日あたりウエストコート(襟付きで背中も共生地)をオーダーします。でも、届くことにはもう必要ないか・・・

サミー

2010/01/05 13:00 URL 編集返信
No title
dunsfordさんとの約束を守れてよかったです。
なんと生地サンプルを取り寄せておられたとは。お目当ての生地の手触りはいかがでしたでしょうか・・。
細かい縫製などをチェックすれば国内生産のほうが遥かに優れているのですけれど,この雰囲気だけは本国企画ならではなのかなと思います。後は,補正でどこまでフィッティングが向上するか,また検証したいと思います。

カッタウェイ

2010/01/05 19:54 URL 編集返信
No title
samy02feb様,いらっしゃいませ。BOOKSTER仲間であられましたか。
袖が太すぎるのは,私が痩せっぽちだからというのも原因の一つだと思います。とはいえ,国内のA6~A7のジャケットと比べると,やはり少し太めかもしれません。
ウエストコート,ラペル付きでオーダー,羨ましいです。そうそう,背中の生地もビスコースか共生地か,選べるのでしたよね。
ジャケットが無事到着することを祈っております。最大の繁忙期は過ぎたでしょうから,3月初旬くらいまでには届くかもしれませんね。少し暖かくなってきたかな,という頃なら,まだ着用のチャンスがあろうかと思います。楽しみですね。

カッタウェイ

2010/01/05 20:02 URL 編集返信
No title
かなり久しぶりに登場。
出遅れましたが、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

裏地は赤紫なんですね。私のパソコンでは濃いピンクに見えました。
やっぱりこういうのは立体かつ全体が見える着用した図がほしいです…。是非是非。

そら

2010/01/05 20:23 URL 編集返信
No title
そらさん,こちらではお久しぶりです。お待ちしておりました。
こちらでも画像によってピンクに見えたり赤に見えたり・・。そういえばディスプレイが破損してしまったというパソコンは買い換えられたのでありましょうか。
着用図。そらさんが隣でBOOKSTERの真っ青なジャンピング・ジャケット(上襟に赤のベルベット)を着て,一緒に写真に納まってくださるのでしたら・・。ジャンピング・ジャケットは↓こんなのです。
http://www.tweed-jacket.com/JACKET%20PAGE/Womens%20Show%20Jumping%20Jacket.html

馬に乗る機会がありましたら,是非。

カッタウェイ

2010/01/05 23:09 URL 編集返信
No title
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
アクションプリーツは服部さんのところでも、やってましたね。
覚えちゃうと、私みたいなメタボにはいいのかもしれません。
スラックスなども、丁寧に作ってますね。
日本のテーラーさんも、ツイードのスラックスは縫いにくいのか、やらないところが多いですが、やはり本場ですね。

-

2010/01/07 15:09 URL 編集返信
No title
deibuさん,今年もよろしくお願いいたします。ツイードのスラックスは,ひざが出るとか,チクチクするとか,私も「止めたほうがいい」と何度も言われました。
ヴィンテージのハリスツイードのトラウザーズなど見ますと,頷けるところがありますです。

カッタウェイ

2010/01/07 21:23 URL 編集返信
No title
どれどれ…とリンク先を見ていたら本当に真っ青でビビりました。
地味顔に原色はヤバいです…。

パソコンは結局買い換えたのです。画面が全部見えるってこんなに快適なことだったとは。

そら

2010/01/07 22:31 URL 編集返信
No title
そらさん,ジャンピングジャケットを御覧頂きありがとうございました。

私の脳内では,そらさんが真っ青なジャンピングジャケットに赤い上襟を付け,白いジョッパーパンツにジョッパーブーツという出で立ちで,颯爽と白いマキバオーを駆っておられたのですが・・。

パソコン買い替えおめでとうございます。元そらさんと姉妹機の我がバイオもディスプレイがやばいです。勝手に画面が省エネモード(というかただ暗いだけ)になって戻りません。もう一段階暗くなったら買い換えようと思っています。昔の電化製品のように,引っ叩いたら直るとか,5チャンネルと6チャンネルの狭間だと映るとか,そういう人間味が感じられないのが残念なところです。

カッタウェイ

2010/01/08 01:00 URL 編集返信
No title
私も本国で修理したパンツ持っていますが、日本と違いすその補強布が付いていませんでした。
英国人はどうしているんでしょうか?
修理すると、丈が短くなりそうですし、そこまで穿かないのか、2本以上組下を作るのか、疑問です。

SNOBITCH

2010/01/10 13:03 URL 編集返信
No title
SNOBITCHさんのパンツも補強布なしでしたか。本格的なお店では,かかと部分だけでなく全周補強布がつくものだと思っていたのですが,そうでもないのか,生地によって使い分けてるのか・・。
擦れに強い生地で,かつ重さがあれば,補強する必要もなく,裾部分に重さを加える必要もないということか・・。

カッタウェイ

2010/01/10 22:51 URL 編集返信
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