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松谷みよ子「ふたりのイーダ」

小学校低学年のころ、母が寝る前に読んでくれた本です。
 
児童文学と反戦小説の融合、というような紹介のされ方をすることがあるようですが、私にはそうした「狙い」のようなものは少しも感じられません。
 
単行本にはさんであった、作者である松谷みよ子さんのインタビューの切り抜きを読むと、「結末は登場人物(りつ子)が夢に出てきて教えてくれた」と書かれています。
 
作者も主人公の直樹同様、結末を知らずにこの小さな物語に入り込み、廃屋にかかっていたカレンダーを見て、初めてこの物語に原爆の悲劇が大きく関わってきたのを知って驚いたのではないか・・・と本気で疑いたくなるくらい、原爆との関わりは自然に進展していきます。
 
ところで、戦争はおろか安保闘争もしらない私がこんな大それたことを考えるのも身の程知らずかもしれませんが、この先、戦争の恐ろしさを、次の世代に伝えるにはどうすればいいものでしょうか?
 
というのも、人間の想像力は豊かなようで、実は非常に限定的(もちろん、人それぞれ異なるのですが)なものではないかと最近強く感じるからです。
 
とりわけ、分かったような気にさせながら、その実、その意味するところが一番伝わりにくいのは、被害の大きさを数値化して示すことではないかと思います。死傷者○万人、というあれです。
 
それよりも、たった一人だけでもいい、誰かの物語を教えてあげるべきではないかと思うのです。戦争によって失われるまでは普通に暮らしていた、今の自分に似ているかもしれない、誰かの物語を。
 
この作品では、登場人物が誰かや何かを厳しく批判する、ということがほとんど起こりません。読後に怒りや悲しみがほとんど残らず、ただただりつ子の寛解と、その後の幸福を願うばかりの気持ちにさせられるのが、この作品のなにより素晴らしい点ではないかと思います。
 
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コメント

コメント(4)
No title
小学校の図書館にあったのに、「ふたりのロッテ」と勘違いして読まなかった記憶があります。残念です。読んでいれば気のきいたコメントの1つもできたのに。

chargeup2003

2012/07/28 10:40 URL 編集返信
No title
chargeupさん、コメントありがとうございます。私は「ふたりのロッテ」をいまだに読んでおりません。きっと子供のうちに出会っておくべき本だったのだろうな・・と思いながらそのままになっています。

小学校の図書館、私が子供のころは「はだしのゲン」ほか沢山の反戦関係の児童書がありました(ゲンは漫画なのに例外的に認可されていた)。今の図書館はどうなっているのだろう・・とたまに気になります。

カッタウェイ

2012/07/28 13:06 URL 編集返信
No title
この前私のところに入ったコメントにそっくりですね。

chargeup2003

2015/03/11 19:34 URL 編集返信
No title
chargeupさん、ありがとうございます。私がもう15年くらい若かったらホイホイとメールして釣られていたかもしれません。

chargeupさん宅でこの手のスパムを見かけたおかげで即刻削除できました。トルネードホワイト様、ご助力ありがとうございます。

カッタウェイ

2015/03/11 21:50 URL 編集返信
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