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ネクタイを選ぶように

「ネクタイを選ぶように選びなさい、一番大切なものをね」
 
フランス映画「メランコリー」では、人生の選択が迫っている男性のもとに母親からそう書かれた手紙が届くそうです。(参考文献:「ネクタイ&シャツスタイル」(婦人画報社))
 
何となくいい言葉だな、と母親の愛情に心温まる思いがしつつも、「それなら実際のところどう選んだらいいの?」ということになるとまるで想像がつきません。
 
そもそも、皆、どうやってネクタイを選んでいるのでしょう?
 
私は今でこそ少しはネクタイを愛しているつもりですが、ほんの15年ちょっと前までは、スーツ関係の服飾品は苦手で仕方ありませんでした。苦手を通り越して、憎悪の対象だったといってもいいくらいです。
 
それはジーンズやスニーカー、フライトジャケットという快適で機能的かつ自由な服飾品を捨て、スーツを身に付けなければならなくなったことへの反発や、街ゆく人を観察しても、どれが良いスーツ姿でどれがそうでないか見分けがつかなかったことや、ジーンズやフライトジャケットのことなら「服飾通」のはしくれだと自認していた自分が、スーツ類のことはさっぱり分からないことへのコンプレックスがそうさせていたのでしょう。
 
そうしたわけで、私はスーツ選びが苦手な人の気持ちは人一倍分かるつもりなのです。とりわけ、自分でネクタイを選ぶのはセンスの有無をレジへ突き出しているようで嫌なものです。
 
漫画「みゆき」で主人公の若松みゆきに「ネクタイの趣味が悪い」と指摘された男性教諭が、仕方なくそのネクタイを頭に巻いて授業をしていた姿が思い出されます。
 
ネクタイは、趣味の良し悪しが如実に現れるものであるらしく、しかも婦女子の大半はそれを判別することができるとしたら・・・恐ろしいことです。もしそうだとしたら、おいそれとネクタイ売り場に足を踏み入れることなどできはしないではありませんか。
 
あまつさえ、たまたま売り場の一本を手にした瞬間に「よかったら合わせてみてくださいね」と、うら若き女性店員が、ジャケットとシャツが描かれたはめ込み板(正式には何という名前なのでしょう?)を差し出してきたりした日には、早々に逃げ出したくなっても無理からぬことだと思うのです。
 
それでは、センスのいいネクタイとは何か?
 
それは未だもってよく私には分かりません。大まかなルール(スポーティかドレッシーか、色・柄の組み合わせ、歴史的背景などに基づくもの)や作り・素材の良しあしが多少分かるようになったのがせいぜいです。
 
それかあらぬか、私の気に入っているネクタイは無地・小紋・ドット・レジメンタルに加えてチェックが1本あるばかり。考えようによっては、実につまらないです。
 

 
ちょうど今、ドレイクスにマックルズフィールド・タイを注文しているのですが、注文に至るまでのリサーチにかけた時間と手間を思うと、これがこの15年あまりの間に私が選んだ一番のネクタイ、ということになりそうです。
 
「ネクタイを選ぶように」大切なものを選ぼうにも、自信を持ってネクタイを選べるようになるには、意外にも時間や勉強や経験が必要なのだ、ということが分かったことだけでも、人生の選択が容易ではないことが伺い知れようというものです。
 
主人公の母親が伝えたかったこととは、もちろん、まるで違っているに決まっていますけれど。
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コメント

コメント(2)
No title
ネクタイは、男のスーツ姿で、唯一、自己主張ができる場所、もしくは、個性を活かす場所、センスを主張出来る場所・・・・と言われておりますが、やはり、全体のバランスを取り、ご自分の趣味とセンスを活かして欲しいと思います。
ストライブ、水玉模様、ペーズリー模様、小紋・・・・色々ありますが、お好きな模様・デザインを選び、それとなく、主張するのが、男の本分だと思います。

自己主張の強い男は、兎角、嫌われます。
スーツは組織人である制服みたいなものだと思っております。

がらくた・おやじ

2013/02/06 19:20 URL 編集返信
No title
がらくた・おやじ様コメントありがとうございます。ネクタイ選びも考え出すとなかなか深いものだと改めて感じました。

カッタウェイ

2013/02/06 20:31 URL 編集返信
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