FC2ブログ

「モーム短編選(上)」より「エドワード・バーナードの転落」

昨日、図書館に立ち寄ったものの、この日に限ってなかなか借りたい本が決まらず、「とりあえず、短編でも借りるか」と思い、手を伸ばしたのがこの「モーム短編選(上):岩波文庫」でした。
 
そこに掲載されている最初の作品が、この「エドワード・バーナードの転落」です。どうでもいいことですが、私は短編集はタイトルを見て気になった作品から順に読むことが多いので、最初に読んだのは「十二人目の妻」で、この作品は2番目に読みました。
 
あらすじは大体、以下のようなところです。
 
 
 
主人公は親友エドワードの婚約者イザベルのために、タヒチから帰ろうとしないエドワードを訪問する。エドワードはタヒチでの生活が気に入り、自分の魂を手に入れたので、シカゴへは帰らず現地の娘と結婚することにしたと言う。かねてよりイザベルを愛している主人公は・・。(以下略)
 
 
・・・タヒチにしても他の土地にしても、本当に「人生の楽園」のような場所があるのかどうか、疑わしくはありますが、そうは言いながらもやはり夢見てしまう世界でもあります。
 
 夢見ながらも、「青い鳥は遠くにはいない」と自分に言い聞かせるのが私の常なのですが、エドワードの次の一言には、どの場所で生きていくにも忘れてはならない意味が込められていると感じ、少し心を揺さぶられました。
 
「人は、全世界を手に入れても魂を失ったら、何にもならないじゃないか」
 
エドワードはシカゴで仕事に忙殺される人生のことを念頭に置いてこう発言したのですが、私はなんだか、昨今のグローバル化やら格差社会のことやらを連想してしまいました。
 
全世界での成功を手に入れても、それが圧倒的多数の人びとの貧困の上に成り立っていとしたら。
 
魂を失っていない人間なら、富を誇っている場合ではないはずですし、魂を失っているのであれば「何にもならない」はずですが、そもそも「魂」の観念が人によって異なりますものね。
 
スポンサーサイト



コメント

コメント(8)
No title
私も揺さぶられました。「魂がある」とはどういう状態を指すのかわかっていないのですが、今はその状態にない気がしてなりません。

chargeup2003

2013/10/20 16:22 URL 編集返信
No title
chargeupさん、「魂がある」状態・・私もよく分かりません。この登場人物の場合は、タヒチで自分に魂があったことに気づいたそうなのですが、彼にとって人生において価値があるのは真善美だそうです。

カッタウェイ

2013/10/20 18:03 URL 編集返信
No title
お、これは読んだことないです。
モームの小説ってドキっとするというか、衝撃的というか、ハッとさせられる言葉がよく出てきますよね。私も久しぶりにモーム読んでみたくなりました。

eveningstar

2013/10/20 18:47 URL 編集返信
No title
イブさん、「人間の絆」で初めてモームと出会って以来、2番目となる本なので、まだまだモームの世界の入り口に立ったばかりですが、短編もとても面白いことが分かり、次は何を読もうかとわくわくしています。今回の言葉は、私が漠然と思っていることを全く違う表現で端的に言い表したように感じられて、ハッとさせられました。

カッタウェイ

2013/10/20 20:23 URL 編集返信
No title
次はぜひ「月と六ペンス」を!

eveningstar

2013/10/20 21:32 URL 編集返信
No title
はい、既にロックオン済みです。読んだら間違いなく面白い本が何冊も自分を待っていると思えるのはとても楽しいことですね。改めて、イブさんに感謝です。

カッタウェイ

2013/10/20 22:48 URL 編集返信
No title
モームと言えば、私は月と6ペンスです。
中学生か高校に入りたての頃読みました…が!!
ゴーギャンのこととしか覚えていません!読み返そう!
時間はたっぷりあるのだから…。人間の絆も読んだのに…。

歌姫

2013/10/23 11:28 URL 編集返信
No title
「月と六ペンス」、早く読みたくてウズウズしています。私も中高生の多感な時期にモームと出会っていればよかったのかも・・高校時代、学校の図書館で借りた唯一の本は「エイリアン」でした。

カッタウェイ

2013/10/23 18:35 URL 編集返信
コメント投稿
非公開コメント

カテゴリ

検索フォーム

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

月別アーカイブ

ジャンルランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
480位
ジャンルランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
服飾
5位
サブジャンルランキングを見る>>