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神々しかった80年代のリング

「疑惑のゴング事件」として有名な、井岡弘樹対ナパ・キャットワンチャイの第1戦の動画を見ました。
 
第2戦(井岡の判定負け)、第3戦(井岡のTKO負け)はリアルタイムで見ているのですが、第1戦だけはハイライトでしか見たことがなかったのです。
 
これまでに見聞きした情報から、
 
「前半は井岡が優勢だったものの、次第に打ち合いに巻き込まれ、最終ラウンドで大ピンチを迎えたところ、なぜかゴングが30秒くらい早く鳴って試合終了。引き分けとなった。」
 
と理解していたのですが、実際に見てみると、3Rあたりからペースを奪われているものの、時折盛り返してもおり、決して単調な試合でもなく、なかなか見応えのある好試合でした。
 
世界戦のレベルとしては、決して卓越しているというわけではないのですが、この観戦しやすさ・楽しさはなぜだろう?ただのノスタルジーだけではないような・・。
 
そこで今の世界戦との、大きな違いに気が付きました。この試合には、1)神々しいほどの緊張感があること、2)解説が公平であること、の2つです。
 
1)なぜ、神々しいほどの緊張感があるのか?
不必要かつやり過ぎのショー的な催しが行われていないためです。
 
例えば、試合開始前の選手紹介が、今と違って極めてシンプル。
 
「赤コーナー、世界ストロー級チャンピオン。104ポンド4分の1。グリーンツダ所属・・・井岡弘樹!」
 
これだけで十分なのです。あと数分後には世界タイトルをかけた殴り合いが始まるのです。いやがうえにもリング上は緊迫しているのですから、だらだらと戦績や過去のタイトルを紹介して間延びさせるべきではないと思います。
 
勿論、本場のリングアナは過去の戦績やKO数などを選手のコール前に紹介したりしていますから、間延びさせずに一つのリズムの中で紹介できれば文句ないのですが、そこは英語と日本語とのリズムの違い。残念ながら昨今の選手紹介は試合前の緊張感を台無しにしていると感じます。
 
それから、第1ラウンド開始時と最終ラウンド開始時のシェイクハンド。私はこれは不要あるいは強要するものではないと感じています。ゴングが鳴ったら試合は始まっているのです。握手は終わってからすればよいと思います。とりわけ、第1ラウンド開始時の攻防は最も緊張感の漂う瞬間です。どうして握手から始めないといけないのかよく分かりません。
 
2)解説の役割とは?
この試合の観戦者のほとんどが井岡ファン(第3戦になるとナパファンも結構いたそうです)であったのは想像に難くないのですが、解説者の仕事は観戦者に井岡有利の印象を与えることではありません。
 
試合の流れを正確かつ分かりやすく「解説」することなのです。
 
特定の選手を応援するのは、解説者やアナウンサーのすべきことではありません。それは観戦しているファンがすることです。
 
白井さん・具志堅さんのお二人は、この役割をきっちりと果たしていらっしゃいました。
 
「井岡のジャブが少なすぎてナパに入り込まれてしまっている」
「ガードが甘く、ナパの右フックをもらい過ぎている」
「当たると思っていた井岡の右ストレートが当たっていない」
「(11ラウンドまでの)ポイントはほとんど互角。最終ラウンドが勝負」
「12ラウンドは、これまでのラウンドで一番悪かった」
 
事実をありのままに告げておられます。11ラウンドまで互角というのは、やや井岡寄りの採点かもしれませんが。
 
それにしても、今では事実をありのままに伝えるアナウンサー、解説者がなんと少ない(少なくとも地上波では)ことか。
 
世界挑戦21連続失敗が起こったこの時代と異なり、今の日本ボクシング界には数多くの世界チャンピオンとチャンピオン候補が存在します。
 
当時と比べれば夢のような時代なのですが、テレビ観戦していてどうも当時のような昂揚感を感じられないのは、ボクシングへの興味が薄れてきたわけではなく、1)ショー化が進んで神々しいほどの緊張感が薄れてしまったこと、2)解説者が解説をせずに「応援」をしていること、等により、感情移入が難しくなってきたことが大きいようです。
 
もっとも、今は日本人の世界チャンピオンが沢山いるので、以前のように切迫した気持ちで応援しなくなったのも一因かもしれません。これについては、80年代後半のボクシングファンには考えられない、贅沢な贅沢な悩みなのですけれど。
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