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「前はどっちだ」パイロットの震電風万年筆:キャップレス

 
ノック式ボールペンの利便性と万年筆の書き味を両立させた逸品としてあちこちで絶賛されています。
 
確かに、ネジ式の万年筆を職場で使っていると、キャップを付けたり外したりするのが非常に煩わしいときがありますので、ノック1回で書きだせるこの万年筆には実用面で強い魅力を感じます。
 
反面、クリップ側からペン先が飛び出すというその構造・外観にはなかなか親しみが持てず、購買欲を掻き立てるには至っておりませんでした。
 
しかし、あるとき、店頭の試し書き用キャップレスを手にした瞬間、この前だか後ろだか分からない独特のデザインが、突如として私の違和感を粉砕してしまったのです。
 
「そうか、これは震電だ!」
 
震電というのは、大昔に試作されたプロペラ機の名称で、通常前に付いているプロペラが後ろ側に取り付けられた設計になっています。
 
試作機どまりですから、性能のほどは不明なのですが、少なくともその外観には圧倒的な存在感があります。
 
これも「プロペラがあるほうが後ろ」だと認識したうえで見ているからで、「飛行機はすべからくプロペラがあるほうが前であるべき」との先入観を持ったままで見れば、ただの不気味な前方視界ゼロの失敗機に映るはずです。
 
万年筆はペン先があるほうが前」
 
そう認識を変えた瞬間、このキャップレスがとても完成されたデザインに感じられたというわけです。
 
できれば、震電風に暗緑色のモデルが欲しかったのですが、残念ながら販売されていないようでしたので、ダイワ・ファントムのようなつや消し黒(下です)を選択。
 

 
ネット通販で購入すればかなり安価で手に入るようですが、万年筆については応援している老舗の商店があるのでそちらで購入しました。
 
大幅割引の代わりに、ラミーとの書き比べや「プラチナのキャップレス(プラチナ・ノック)の話」や「フエルムのイカペンの話」等々、楽しく、記憶に残る時間を過ごすことができました。
 
五木寛之の「生きるヒント」に出てくるイランの涙壷のお話ではありませんが、買い物には「欲しいモノを手に入れる喜び」と「買い物という双方向の行為がもたらす(ことがある)喜び」の二種類があるように思います。
 
昔、ショップ店員をしていたせいで余計にそのように感じるのかもしれませんが、単なるカネとサービスの交換ではなく、買い物そのものが楽しめるお店があると人生がほんの少しだけ豊かになるような気がするのです。
 
この万年筆は、インクを通す前に、もう忘れられない思い出が刷り込まれました。贅沢なことです。
 
 
 
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