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夏休み読書感想文「恐怖新聞9巻(地獄村)」

子供の頃、友人の家で読んだ漫画「恐怖新聞」は、当時の私が耐えられる怖さの上限ギリギリといった作品でした。

しかし、その巻末に載っていたある小編は、その救いのない結末で、本編を遥かに超える恐怖を私に味わわせたのでありました。

そして再読の機会に恵まれぬまま、時は流れに流れ、はや今はジェッターマルスが生まれるという2015年。

あの作品の怖さの根源は何だったのか?時の検証に耐えうるクオリティだったのか?

大人になった私は、古本代100円と送料300円弱を投資して、当時の恐怖に直面する決意をしたのでした・・。

(あらすじ)
残雪残る赤目ダムにハイキングへ行った早津とGFの由紀は、崖の花を採ろうとしたせいで家族や友人とはぐれてしまう。

異臭や霧に悩まされた二人は、野宿を決意し適当な場所を探しているうちに、山の谷合に村を発見する。

二人が村へ入ってみると、村人は誰もおらず、周囲にはネズミが腐ったような異臭が漂っており、木々には人の手のような瘤ができている。

二人はこの村を廃村とみなし、空き家へ泊ることとするが、由紀は夜中に誰かが歩き回る音がすると訴える。

早津が窓に駆け寄ると、黒いマントをまとった死者が列をなして歩いてくるのが見える。

「人間のにおいがする。生きた人間の・・・!」

「こっちだ・・。こっちから強いにおいがしてくる!」

近づいてくる死者の列。早津は機転をきかせ、由紀を連れて床下を這いながら脱出しようとする。

死者の列は、早津と由紀が居た部屋を探し当てるが、既に戸外に隠れていた早津は、隙を見て岩かげまで走って逃げようと試みる。

しかし、足元に転がっていた大量の白骨に驚いた由紀が悲鳴を上げてしまったため、死者の列は二人をめがけて集散し、ついには二人を取り囲んでしまう。

死者たちは、何百年もの間、こうして何千人もの人々を殺め、その腐乱した肉を食用としてきたのだ。

絶体絶命の早津と由紀を、夜明けの光が救う。太陽の光を浴びた死者たちは呻き声を上げながら消えていき、二人は息の続く限り走って逃げ続け、ついに生きた人間の木こりに出会う。

「きみたちはあれを見たのか・・あれは地獄村じゃ」

木こりは狼狽しながらも話し始める。

その村は、椿の木に人の手が生ったとき、こつぜんとあらわれ、朝になるとこつぜんと消えるという。そこでは、この世に舞い戻った地獄の死者の行列が、登山者や木こりを誘い込み、そしてその命を奪うのだと。

「やつらの姿を・・地獄村を見た者は生かしておかぬと聞いている。きみたちがどうして生きているのかさっぱり分からぬ・・。」

木こりと別れた早津と由紀は、生き延びた喜びを分かち合いながら、急いで山を下りようとする。

「その峠を越えればもう下の村が見えるって・・。あと、ひとがんばりだよ」

ところが峠を越えた二人に村の姿は見えず、いつしか再び手の形をした木々に囲まれていることに気づく。

「どうしよう。また道に迷ったんだ!」(完)



(感想)
「恐怖新聞」に収録されてはいるものの、絵はつのだじろうが描いているわけでなく、あの特有の迫力はない。

死霊の顔も「どろろんえん魔くん」のシャポーじいより少し人相が悪い程度で、いくら幼かったとはいえ、なぜあれほどの恐怖を覚えたのか不思議でならない。

ただ、「手の形をした木の瘤」はやはり不気味で、異界に入り込んでしまったことを印象付ける効果は相当なもの。

しかし、当時の恐怖感の根源は、「助かったと思ったら、実はまだ助かっていなかった」というホラー作品の常套手段に初めて接したせいだと思われる。

加えて、私は人並み外れた方向音痴なので、こうした「道に迷ったせいで悲惨な目に遭う」という筋書きに感情移入しやすかったものと考えられる。

(教訓)
1)いくら若くて容姿端麗な異性からの要請であっても、集団行動の輪を乱すような行為(崖の花を採取する等)は厳に慎まなければならない。

2)助かったと思っても完全に助かるまでは安心せず、一度見つけた救援者を安易に手放してはならない。

3)朝日をあびて消えたからといって、誰もがディオのように塵になるとは限らない。
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コメント

コメント(2)
No title
本当に有難うございます!ずっと探してました!
小学校低学年の頃にこの話を読んで、強烈な恐怖で、数日間、晩も寝られない程のトラウマを植え付けられました。
その事があって、高校までホラーが苦手で、やっとこさホラーを見れるようになった時にふとこの話を思いだし探したのでしたが、一向に手掛かりがありませんでした。
記憶では、友達のお姉ちゃんが持ってたのですが、当の本人は覚えておらず、本も処分していて、別のホラー好きの人に聞いても情報が少ないせいかわかりませんでした。つのだじろうの本も当たったのですが、愛蔵版とかで調べてて見つけれませんでした。
こどもの頃の自分の記憶違いだったのかなと思い、そのことを今日まで約20年間忘れていたのですが、ふと気になり、ワード検索をしたらこのブログがヒットしました。
本当にありがとうございました。古本屋行って買います。

zai*****

2019/02/22 15:16 URL 編集返信
No title
> zai*****さん
コメントありがとうございます。地獄村の記事がお役に立ったとのこと、とても嬉しく思います。

子供の頃に読んだ漫画(特にホラー)は強烈な印象を残すことが多々ありますよね。私もまだ作者等が分からず再読できていない漫画があってたまに検索・空振りしております。

地獄村、古本屋で首尾よく地獄村を入手・再読できることを願っています。また読後のご感想など教えていただければ幸甚です。

カッタウェイ

2019/02/23 07:39 URL 編集返信
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