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新旧「星の王子さま(岩波:内藤 濯訳)

娘が本を読むようになってきたので、古本で「星の王子さま(岩波書店 内藤 濯訳 1998年改版)」を買ってきました。

この作品は、昔から家にある(岩波書店 内藤 濯訳 昭和28年発行 昭和39年第18刷版)のですが、古い本ゆえかなり劣化しているので、若い者の手荒い仕打ちに耐えられないだろうと思い、程度の良さそうな古本が欲しかったのです。


パラパラと新版(といったって17年前ですが)をめくってみると、おや?何やら違和感を感じます。

ところどころ、言葉が置き換わっているような気がします。

例えば、汽車の転轍手の言葉。

【1998年版】
「それ、機関車に乗ってる男も知らないんだよ」


対して

【昭和39年版】
「それ、機関車に乗ってる男が知らないんだよ

ああ、随分と印象が変わってしまいます。後者のほうが、本人が「知らない」ことの異様さがより際立つと感じるのですが。


一番大きな違いを感じたのは、あのキツネがお別れに教えてくれる場面

【1998年版】
「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思ってるのはね、そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ」


【昭和39年版】
「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思ってるのはね、そのバラの花のために、時間をむだにしたからだよ」


どうでしょうか。私はこのあたりの場面がとても好きなので、訳が変わってしまってちょっとショックを受けました。

王子さまがバラの花をたいせつに思っているのは、その花のために、毛虫をとったり、ついたてをたてたり、覆いをかけたりしたためで、無為な時間をやりすごすために花の面倒を見たわけではないので、古い訳のほうがしっくりするような気がするのです。

もっとも、私は原文を読んだことはないですし、その力もないので、どちらの訳が原作により忠実かはさっぱり分らないのですけれど。

・・・と、感じたため、少し検索してみると、やはりこの訳には異議が出ているようですね。パンクとかモーターとかキノコとか、私がやや違和感を感じていた箇所についても色々取りざたされているようです。

でも、私にとっては、細かな言葉に違和感を感じたとしても、やはりこの作品は内藤訳(それも古いほう)しかあり得ないのです。

この本のために、「随分と時間をむだに」してきましたから。

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コメント

コメント(4)
No title
あれ、同じ訳者さんなんですね。何でこんなに修正してしまったのでしょう。新訳の方が翻訳語っぽく見えるから原文に近いのかなという気もしますね。

chargeup2003

2015/11/15 08:38 URL 編集返信
No title
こういう自分の思いを深めていたところの表現が
変更されるととてもとても悲しいですね。
助詞の使い方一つで広がる世界が変わりますものね。

内藤濯。この翻訳者の名前もすごく印象的でした。
同じ人の訳なのに、違う箇所があるのですね…。

歌姫

2015/11/15 11:35 URL 編集返信
No title
chargeupさん、変えた理由はよく分らないのですが、受ける印象はずいぶん変わってしまいました。

新訳が次々発売されていたのは記憶に新しいところですが、比べて選ぶのも大変そうです。

カッタウェイ

2015/11/15 13:31 URL 編集返信
No title
うたひめさん、そうなのです。完全な誤訳であったとか、誰かを傷つける言葉が含まれていたというなら分るのですが、この作品については理由がよく分らないようでして・・。

手元の旧訳版を大事に読み継いでいかねばならなくなってしまいました。紙質があまり良くないようで、ちょっと心配です。

カッタウェイ

2015/11/15 13:36 URL 編集返信
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