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1925年を握りしめて:パーカーのデュオフォールド(ビッグレッド)

よく言われることなのですが

「ヴィンテージ品を買うということは、その歴史も一緒に買うということ」

そのとおりだと、私も思います。

それかあらぬか、あまりに大きな歴史を背負い込んでいるブツは、現世で再活用しようとしても、なんだかそこだけ浮きまくるというか、違和感が拭えないというか・・。

「20年、他人に連れ添ってきたブツを自分のものにするには21年かかる」

というのが、最近思いついた私の仮説です。

さて、ナイロンスニーカーの世界では、ヴィンテージといえば1970年代、リーバイスの501などジーンズの世界では、1950年代くらいがポピュラーな年代ですが・・。

万年筆の世界では、もっともっと古い年代のものが沢山残されているようです。



これは、本日届いたパーカー社のデュオフォールド(シニア)という万年筆です。

ビッグレッドと呼ばれ、ヴィンテージ万年筆の中でも非常に知名度が高いモデルであるようです。

素材(エボナイト)とバンドの厚み等から、製造時期は1923年から1925年くらいではないか、ということらしいのですが・・。

1925年・・・まだ大正時代です!

一体、この年はどんな年だったのか調べてみますと・・。

1)ラジオ放送開始
2)治安維持法公布
3)普通選挙法公布
4)芦ノ湖にブラックバス放流
5)「女工哀史」刊行

という大きな出来事が相次いだ時期であったことが分かります。

私は当然のこととして、私の両親すら生まれていない時代。亡くなった私の祖父がまだハナ垂れ小僧(だったかどうか知りませんが)の時代です。

こんな大昔の製品が、こんな綺麗な状態であちこちに残っているというのも凄い(この時代のリーバイスだったらそうはいきません)ですし、多少の苦難(インクのボタ落ちなど)を覚悟すれば、実用も十分可能というのも凄いことです。




クリスマスツリー・フィードと呼ばれている(らしい)ペン芯の形状です。私にはノコギリザメに見えます。

ボタ落ちを防ぐというふれ込みのラッキーカーブのペン芯。

しかしながら、修理にあたっては邪魔くさい存在でもあったそうで、カーブ部分をぶった切ってしまうケースが多々あったらしく、しかも、どういうわけかその痕跡をペン芯下部に刻んでいるブツが多いようです。

痕跡があれば、「ペン先とペン芯を同時に前から引き抜けるよ」という意味なのでしょうか?分解する技量も度胸もない私にはよく分りません。

幸い、このブツは、「FULL LUCKY CURVE FEED」と書かれていたので、切断を免れたクチであるようです。




ズドンとしたペン体。シンプルで見かけは悪くありません。




米国のPeyton Street Pens というお店から購入しました。ヴィンテージのペンをレストアしてから販売しているお店のようです。

このブツもレストア済みで、サックも替えられているはずです。そう信じています・・。



「ビッグレッド」と言われるだけあって、かなりでかいです。あと、レッドと呼び名がついてますが、私がこれまで見たブツはどれもこれもオレンジ色にしか見えませんでした。

時代によって、やや赤味が強いモデルもあった・・という記事を目にしたような記憶があります。エボナイトでもそうだったのか、パーマナイトになってからだったのか・・??

下にある鮮やかな朱軸の万年筆は、パイロットのカスタム845です。これも赤くて大きくてエボナイト製なのですが、ビッグレッドのほうが少し大きく、かなり重く(32g)、そしてなにより御年90歳の強烈な存在感があります。

【以下、私の妄想です。読んでも得るものがないこと請け合いです。】

1925年製の万年筆が、2016年に現存している場合、それが90年分きちんと劣化・消耗していれば、やはりその万年筆の占めている空間も2016年そのままだと思うのですが、1925年製の万年筆が、作られて1年程度しか劣化・消耗していないまま手元にやってきたとしたら・・?

その万年筆の占めている空間だけ、1926年になってしまうのではないでしょうか?

その万年筆が移動すれば、移動先の空間の2016年が押し出され、やはりその万年筆があるところだけ2016年でなく1926年になってしまうのでは?

懐古趣味が悪化して、そんなおかしなことを考えるようになってしまいました。

ビニール袋入り完全デッドストックのアシックスタイガー(先日、すごいブツが出てました・・)が占める空間は1982年。

新車同然(もしあれば)のセリカXX2000Gターボが占める空間は、1984年。

そのセリカXXが時速190キロでアウトバーンを疾走すれば、XXの形状をした1984年の空間が、やはり時速190キロで2016年のアウトバーンを移動する・・。

バカな妄想ですが、こう考えたほうが、ヴィンテージ品との付き合いを一層楽しむことができるような気がしてきました。

この万年筆を額面どおり90歳と受け取ってしまうと、真に自分のモノにするためにはあと91年の年月を要する(自説では)ため、こんな新説を思いついたのかもしれません。

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コメント

コメント(10)
No title
安心してください。妄想のくだりの通りで全く間違いありません、、、笑
私はCR-X乗ってるときに、当時モノの服着て、車の中で文化放送とかにラジオを合わせれば、、仕事で嫌なことがあっても、あっという間に1983年に逃避行(タイムスリップ)しています、、笑

baja9631

2016/01/14 23:34 URL 編集返信
No title
さすがbaja師匠。移動するタイムカプセルですね。

ラジオから「ボヘミアン」とか「僕、笑っちゃいます」とか「時をかける少女」あたりがかかれば完璧です。

ダルマ瓶のメローイエローを後付けのドリンクホルダーに刺して・・ああ、現代に戻ってこれないかも・・。

カッタウェイ

2016/01/15 00:17 URL 編集返信
No title
音楽は、耳にした時点で
さぁーと当時に戻れる気がしています。

仕事場で、80年代の歌を流していると
結構、お客さんが反応します。
同世代の方ばかりですが~笑

R-R

2016/01/15 20:27 URL 編集返信
No title
そうですよね。そんな気分が薄れないように、あまり聞かないようにしている曲がけっこうあります。

1983年だと薬師丸ひろ子の「探偵物語」など・・。

カッタウェイ

2016/01/15 21:44 URL 編集返信
No title
探偵物語ですか~。
僕は当時の彼女が、薬師丸ファンで
すっかり影響されていた事を思い出します(笑)

R-R

2016/01/16 15:47 URL 編集返信
No title
1980年代前半の薬師丸ひろ子は人気がありましたよね。

「セーラー服と機関銃」を録音(エアチェックと言ってましたっけ)しようとして四苦八苦していた記憶が蘇ってきました。

カッタウェイ

2016/01/16 16:57 URL 編集返信
No title
> カッタウェイさん
FMからの録音をエアチェックと言ってました。
懐かしいですね。
角川映画を見ると少し大人になった気分でした。
内容は。。。でしたが(笑)

R-R

2016/01/20 21:09 URL 編集返信
No title
エアチェック、FMレコパルなんかで録音したい曲を探すのが楽しみでした。レコパルのページはしっこにカセットテープ用の背表紙(アーティスト名)がついていましたっけ・・。

カッタウェイ

2016/01/22 18:41 URL 編集返信
No title
> カッタウェイさん
FM雑誌で曲はよく見ていました。
今はHPで確認ですよね。FM雑誌はどれもカセットの背表紙
ケースのイラストがありましたよね。
実家にまだ残骸がありますよ(笑)
父親がどんどん捨てて無くなっていますが。。。。苦笑

R-R

2016/01/23 16:27 URL 編集返信
No title
カセットケースの背表紙はけっこうなお宝でした。当時好きだったスパンダー・バレエやデュラン・デュランの背表紙が付いていたときは結構嬉しかったものです。

カセットは再評価されると信じていたところ、その兆候が十分見られるようになってきたようですので、残骸も滅失しないよう保護されることをお奨めします・・。

カッタウェイ

2016/01/23 17:18 URL 編集返信
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