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モノ好きの「所有欲」と「体験欲」

私の曖昧な記憶によれば、ロンドンの仕立て屋ヘンリー・プールのアンガス・カンディ氏は、雑誌の特集で、同店でスーツを仕立てることを「それはまるで冒険の楽しさだ」と語り、「少し贅沢な旅行をしたと思えばビスポークは決して高くない」と仰っていました。

高くないかどうかは人によるので何とも言えません(私の購買可能メーターは軽く振り切っていますので考察不能です)が、ビスポークが購買欲を満たすだけでなく、体験欲も満たすことを示唆した点で強い印象を残した言葉です。

およそ私が生活必需品以外のモノ(多くは古物)を欲しがる時には、単なる「所有欲」というより、そのブツを一度わが物にして使ってみたいという「体験欲」が優勢であることが少なくないような気がします。

「所有欲」が優勢の場合は、対象のブツがどんなもので、どのくらいの効用をもたらしてくれるのかを、概ね把握・予測していることが多いので、手に入れた後に後悔することはあまりありません(私の場合は)。

しかしながら、「体験欲」が強い場合は、実際にその「体験」を終えてしまうと、何やらカタルシス的なものを感じてしまい、そのブツがもはや自分にとって用済みに近い存在になってしまうことがあるように思います。

もちろん、体験欲が満たされた後も愛が冷めず、ついには愛着を感じるに至るケースも多々あるのですが、「体験」が非日常的(現行品とかけ離れている)であればあるほど、最初の愛の強さが試されることが多いようです。

ネットオークションに体験型の要素が強いヴィンテージ品が豊富に出品されているのを見ると、オーナーの「体験欲」を充足させた後に愛を失ってしまったブツではないかと、余計な勘ぐりをして不憫になってしまうことがあります。

「同情は愛情ではない」と25年くらい前にバイト仲間の女性が言っていましたので、そうしたブツをポチって悲劇を繰り返してしまわないように努めねばなりませんが、その入札が同情なのか愛情なのかなど、射幸心に取りつかれたオークション参加者に判別できるものかどうか、いささかの疑問が残るところであります。
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コメント

コメント(4)
No title
体験欲、わかる気がします。落札→試着→クローゼットorヤフオクみたいな流れでしょうか。私も釣り竿で同じようなことを何度か…。

tei-g

2017/02/16 21:41 URL 編集返信
No title
> tei-gさん
わかってくださいますか。私の場合、洋服ではあまりないのですが、小物類で多く経験しています。

最近買った伸縮チェーン式のカフリンクスあたりは多分体験欲関係です・・。

釣り具では、アリヨンのエアブレーキとか、そんなのが体験欲を煽り立てます。ああ、投げてみたい・・。愛用はしないだろうけれど。

カッタウェイ

2017/02/16 22:22 URL 編集返信
No title
確かに、とくに、ヤフオクで、新品未使用という言葉と価格に引き付けられる自分がいます。
昔から、興味があったが、あの金額を出すぐらいなら・・・と躊躇していたような物があると、どうしても、一度は・・・と思う今日このこの頃です。

がらくた・おやじ

2017/02/17 16:16 URL 編集返信
No title
> がらくた・おやじさん
未使用品の表示は「自分との邂逅を待っていたのでは」というおかしな錯覚を引き起こすことがあるので(私の場合)特に危険性が高いです。

買って、体験して、同じような価格で売却できればいいのですけれど。

カッタウェイ

2017/02/19 15:03 URL 編集返信
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